ECサイトでは、顧客のニーズに応じて、複数の決済手段が用意されていることが一般的です。
自らの希望する決済方法が無い、という理由で、購入には至らず離脱してしまうことを防ぐためにも、ECサイト運営側としては、それぞれの顧客のニーズに対応するために、複数の選択肢を用意しておきたいところです。
この記事では、
- 複数の決済方法を用意するメリット
- 導入する決済方法の選び方
について解説します。
複数の決済方法を用意するメリット
メリット①:機会損失の防止に効果的
決済方法の選択肢が限られていると、希望の決済方法で支払いをすることが叶わなかったユーザーは購入をやめ、そのままサイトを離脱してしまうケースが多いです。
また、複雑な手続きや、必要な情報の入力作業を面倒に感じるユーザーも多いです。
貴社のECサイトで取り扱う商品が、ハンドメイドのアイテムのような一点物や、他のサイトでは扱っていないオリジナルの商品であれば、それでも購入してくれるかもしれません。
ですが、他のECサイトに同様の商品がある場合、顧客が他店に流れてしまう可能性があります。
とりわけショッピングモール型のECサイトの場合、容易に他店の商品にアクセスできてしまうため、 購入の機会を逸してしまうリスクが高まります。
メリット②:ユーザー満足度の向上
もうひとつのメリットは、ユーザー満足度の向上です。
扱っている商品やサイトのユーザビリティなどが、顧客満足度に寄与していると考えがちですが、実際は、決済方法も満足度に大きな影響を及ぼします。
自らの希望する形で料金を支払うことができる=買い物における面倒さを減らすという点で、ストレスが減少するからです。
顧客満足度を高め、ユーザーから高評価を得るためにも、複数の決済方法を用意するメリットは大きいです。
ECサイトの主な決済方法一覧
経済産業省の調査によると、顧客がインターネットで商品を購入する際の決済方法 (複数回答) は、以下のようになっています。
- クレジットカード払い (代引時除く):66.1%
- コンビニでの支払い:30.9%
- 代金引換:26.9%
- 銀行・郵便局・ATMでの振込:23.7%
- ネットバンキング・モバイルバンキングによる振込:12.4%
- 通信料金・プロバイダ利用料金への上乗せ:11.5%
- 電子マネーによる支払い:4.2%
- 現金書留・為替・小切手による支払い:1.6%
クレジットカード決済は人気ですが、それだけですべての顧客の要望に対応できるわけではないということが、お分かりいただけると思います。
ここからは、それぞれの決済方法について詳しく掘り下げていきます。
方法①:クレジットカード決済
クレジットカードでの支払いは、ECサイトにおいては代表的な決済方法です。
購入の手続きから決済完了までWeb上で完結し、ユーザーにとっての利便性が高いため、導入は必須といえるでしょう。
また、代金の未払いについてはクレジットカード会社の方で対応するため、ECサイトの運営側から見ても、未回収リスクを軽減できるというメリットがあります。
さらに、クレジットカード決済は、D2C商品を定期的に購買するユーザーのLTVを高める効果もあるため、CRM施策にも繋がる点が強みです。
ただし、クレジットカード決済においては、顧客の個人情報を多数取り扱うことになるため、セキュリティ対策は万全にしておかなければならないという点に注意が必要です。
個人情報の取り扱いについては、ユーザー側も不安に感じているため、顧客に安心してショッピングを楽しんでもらえるよう、個人情報を適切に管理している旨をECサイト上に明記することも大切です。
方法②:コンビニ決済
商品の購入手続きをした後に、コンビニのレジや店頭にある専用の端末を使い、料金を支払うという決済方法です。
自宅や職場の近くなど、顧客の生活圏内にあるコンビニで支払うことができます。
クレジットカードを持っていない人、何らかの理由でクレジットカードの使用を避けたい人にとっては大きなメリットでしょう。
ECサイト側としても、入金を確認してから商品を発注・配送するため、代金が未回収になるリスクを避けることができ、安心感のある決済方法といえます。
方法③:代引き
代引きとは「代金引換決済」の略称です。
商品が届いた際、配達員に代金を支払い、商品を受け取るという決済方法です。
顧客側のメリットとしては、商品受け取り時にその場で支払えばよいので、支払いのために外出したり、支払い期限を気にしなくてもよいです。
ECサイト側にとってのメリットは、商品の配送等にかかる手数料を自由に設定できることです。
例えば、顧客を獲得するために手数料を安くすることもできますし、逆にコストを削減するために高い手数料を支払ってもらうこともできます。
ただし、代引きにはデメリットもあります。
商品の受け取りを拒否をされてしまうと、送料や商品の配送までにかかった工数が無駄になってしまうというリスクを抱えることになります。
方法④:ID決済
Amazon Payをはじめとした、外部の決済サービスと連携して料金を支払う方法を、ID決済といいます。(チェックアウトサービスと呼ばれることもあります)
外部サービスに、商品の代金を支払うために必要な情報があらかじめ登録されているので、クレジットカード番号や個人情報を入力する必要がなく、IDとパスワードを入力するだけで決済可能です。
ECサイト側としても、顧客の個人情報を自社で保存・管理する必要が無いため、セキュリティ対策面では安心感があります。
方法⑤:その他決済方法
上記でご紹介したのは主な決済方法の一部であり、実際には他にもいろいろな種類の決済方法があります。
- 後払い決済
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商品の発送後に払込用紙等が封書で届き、代金を支払います。
顧客側のメリットとしては、支払いのタイミングは商品到着後なので、初期不良やサイズ違いなどのトラブルが無いか、あらかじめ確かめることができる安心感が魅力です。
しかし、ECサイト側から見ると、顧客が代金を支払わなかった際、負債を抱えるリスクが発生します。
代金回収業務のためのコストが必要になるため、後払いに対応するかどうかは十分注意して決めた方がよいでしょう。
- キャリア決済
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携帯電話の料金へ上乗せして、商品の代金を支払うという方法です。
スマートフォンからECサイトを見て商品を購入しているユーザーも多いため、近年徐々に普及してきています。
クレジットカードの情報を入力しなくてもよいことから、顧客にとっては安心感のあるキャリア決済を選ぶ人もいます。
しかしEC事業者からすると、手数料がかかるほか、キャリアごとに仕様が異なるため、各キャリアに合わせた運用が必要になる点など、デメリットの部分もあります。
- 銀行決済
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現在は減りつつありますが、銀行決済は昔から主要な決済方法のひとつとして利用されてきました。
日本では銀行振込の認知度が最も高いですが、近年は、口座振替・バーチャル口座決済・ペイジー・ネットバンキングなど、様々な種類の銀行決済が登場しています。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、どの種類の決済方法を採用するかという点については、以下で紹介する「導入する決済方法の選び方」を参考にしてください。
導入する決済方法の選び方
決済方法の選択肢が多ければ、それだけ幅広い層の顧客に対応することが可能です。
ですが、選択肢が増えれば増えるほど、イニシャルコストや運用コストがかさんでしまうというリスクがあります。
数ある決済方法の中から、自社にどの決済方法を導入するべきか、選定の基準を解説します。
①ペルソナの年代に合わせる
自社にとって最適な決済方法は、ペルソナの年代によって異なってきます。
例えば、20代から80代まで、幅広い年代の人が顧客になると想定されるECサイトであれば、クレジットカード決済を採用しない理由はありません。
ですが、10代向けの商品を扱うECサイトでは、むしろクレジットカード決済を選ぶ顧客の方が少ないでしょう。
未成年のユーザーの多くが、クレジットカードを持っていないからです。
若い世代の顧客が多い場合、コンビニ決済、代引き、後払い決済等、クレジットカード以外の決済方法を充実させる必要があります。
②ランニングコストと相談する
クレジットカード決済やコンビニ決済など、決済を代行してくれるサービスには手数料が発生します。
- 月額固定費や決済手数料
- トランザクション手数料
などです。
こうしたランニングコストについては、高額になりすぎないよう調整しながら決済方法を選びましょう。
似たような内容の決済代行サービスでも、月額固定費が高く1件ごとの決済手数料は安いところ、逆に月額固定費は安いが1件ごとの決済手数料が高額になるところなど、料金設定はバラバラです。
想定する費用感と合うサービスを選択するようにしましょう。
③自社ECサイトのカート会社と連携可能なものを選ぶ
ECカートシステムによって、導入できる決済システムは異なります。
決済方法を決めた後、実際は導入できないことが発覚し、また一から選び直さなくてはならない…という事態にならないよう、あらかじめどのような決済方法が導入できるのか確認しておくことをおすすめします。
また、導入自体は可能でも、決済手数料が高額になるケースもあります。
ECカートシステムによって、決済手数料の金額は変わるので、その点も踏まえて決済方法を選びましょう。
ECサイトの構築はこれからという場合には、先に導入する決済方法を決めた上で、ECカートシステムを選ぶのもおすすめです。
まとめ
顧客が希望する決済方法を用意することは、ECサイトの提供するサービスのひとつです。
顧客がストレスなく決済できる方法をよく考察した上で、ECサイト側のメリット・デメリットも踏まえながら、どのような決済方法を導入するか選択しましょう。