ベネフィットが際立つキャッチコピーは、ただ印象に残るだけではありません。
それは顧客の心を捉え、行動を促します。
とくにマーケティングの分野においては、キャッチコピーによって企業や商品のイメージが決まるため、成約率や売り上げにも大きく影響を与えます。
しかし、どのようにしてそのようなキャッチコピーを作ればよいのでしょうか?
この記事では、ベネフィットを中心に据えたキャッチコピーの作り方を紹介します。
シンプルながら効果的なポイントと具体的な例を通じて、あなたの商品やサービスの魅力を最大限に伝える方法を解説します。
キャッチコピーのベネフィットを最大限に引き出すためのポイント
訴求するベネフィットを顧客に正しく伝えるためのキャッチコピーを作るには、顧客心理に訴えかける内容を論理的に考えていく必要があります。
ただ闇雲に思いついたベネフィットや言葉を並べているだけでは、商品が売れるキャッチコピーは生まれません。
キャッチコピーのベネフィットを最大限引き出すためのポイントは以下の8つです。
- ターゲットを明確にする
- できるだけシンプルにする
- ベネフィットを明確に伝える
- 数字を含めて説得力を高める
- 簡便性を訴求する
- 権威性を借用する
- 意外性で惹きつける
- 限定性を打ち出す
これら8つのポイントについて、以下に詳しく解説します。
ポイント①:ターゲットを明確にする
商品が売れるキャッチコピーを作成するためには、「商品を購入するターゲット」を明確にする必要があります。
まずは、自社商品・サービスの特性を踏まえたうえで、利用する顧客はどのような層であるかを考えましょう。
以下のように、属性やライフスタイルなどをもとにターゲット層を絞り込むことがポイントです。
カテゴリー | 年齢・職業・年収・地域 …など |
ライフスタイル | 性格・趣味・価値観 …など |
プロブレム | お悩み・問題視している事柄・購入動機 …など |
ターゲット層を明確化することで、具体的に顧客のニーズを把握できるようになり、ピンポイントで心に届くキャッチコピーを考案できるようになります。
ポイント②:できるだけシンプルにする
キャッチコピーは、できるだけシンプルにすることもポイントです。
長すぎるキャッチコピーはインパクトが弱くなり、ターゲットの印象に残りにくくなります。
なぜなら、キャッチコピーが長いと説明文のような印象を与えやすく、読むこと自体を億劫に感じさせてしまうためです。
商品・サービスの良さを伝えたいあまり、多くの情報を詰め込んでしまうとインパクトを与えることはできません。
キャッチコピーに使用する言葉は、できるだけシンプルに短文でまとめましょう。
ポイント③:ベネフィットを明確に伝える
キャッチコピーでは、「ベネフィット」を明確に伝えられると、顧客の心を掴みやすくなります。
ベネフィットとは、例えば「この商品を買うと健康な体を手に入れられる」といったように、商品やサービスを利用することで得られる顧客側の利益や恩恵のことです。
キャッチコピーが商品を説明するだけの内容では、顧客の心には響かず、購入につながりにくくなってしまいます。
一方、一目でベネフィットが分かるキャッチコピーでは、顧客が購入後に得られるメリットをイメージしやすくなるため、購買意欲を高められます。
ベネフィットの具体的な事例10選
具体的なベネフィットの事例をいくつかご紹介します。
ターゲットの悩み | 商品・サービスによって解決できること | キャッチコピー例 |
---|---|---|
体重管理に苦労している | 簡単で効率的なダイエット | あなたの理想体重、手の届くところに |
肌の老化が気になる | 若々しい肌の維持 | 本来の自分を取り戻す、時を忘れる肌 |
旅行計画がめんどう | 手軽な旅行計画を提供 | 夢の旅行、数タップで現実に |
家事の時間がない | 迅速な家事支援サービス | もう家事に追われない、 優雅な時間を手に |
健康的な食事の準備が大変 | 手軽な健康食の配達サービス | 健康は手軽に、美味しさと共に |
ハゲ・AGAが気になる | 効果的な薄毛治療 | 自信を取り戻す、新しい髪の始まり |
便秘が良くならない | 自然に効く便秘解消法 | 自然体で、毎日スッキリ |
仕事を楽にしたい | 時間節約のAIツール | 仕事をAIに任せて、 大切な時間を手に入れる |
ゴルフを上達したい人 | ゴルフスキル向上プログラム | 次のラウンドはあなたのもの |
存分に楽しみたい | 没入型エンターテイメントゲーム | 時間を忘れて没頭、冒険の世界へ |
上記の例は、それぞれのターゲットの悩みに合わせて商品やサービスのベネフィットを強調しています。
これにより、顧客に対して製品やサービスの具体的な価値を直感的に伝えることができます。
ポイント④:数字を含めて説得力を高める
キャッチコピーには、商品・サービスの価値を示す「具体的な数字」を加えることもポイントです。
例えば、「リピーター多数!」よりも、「リピーター1万人!」といわれたほうが、どれだけの人に支持されているのかが具体的にわかります。このように、数字を入れることで説明が具体的になり、商品の魅力や有用性がイメージしやすくなるのです。
具体的な数字には、売上や販売実績、導入期間などが挙げられます。
- 売上No.1
- 2週間続けるだけ
- 累計販売個数○○突破
具体的な数字を加えることにより、キャッチコピーを見た顧客が商品・サービスをイメージしやすくなるほか、品質の良さを伝えられます。
ポイント⑤:簡便性を訴求する
キャッチコピーでは、簡便性の訴求も重要です。
簡便性とは、めんどくさくなく、簡単にできるかどうかという意味です。
商品やサービス自体の良さを伝えられたとしても、購入手順や操作などが難しそうだと思わせてしまうと、購入を断念させる結果にもつながりかねません。
キャッチコピーを見て「自分にも簡単に扱えそうだ」と思ってもらえるかどうかが、顧客の購入意欲を左右します。
ポイント⑥:権威性を借用する
キャッチコピーに権威のある人や機関、賞などの名称を入れると、商品の信頼度を高めることができます。
権威とは、多くの人がその価値を認めている「力」であり、人間には権威に対し無意識に従う心理があります。
そのため、キャッチコピーに権威性を入れられると、「この人(機関)が認めているなら良い商品に違いない」と顧客に感じさせることができるのです。
特にターゲット層が女性の場合、キャッチコピーに権威性を借用することが効果的にはたらきます。
これは、男性に比べて女性のほうが、口コミや他人の評価をもとに商品価値を決定する傾向が強いためです。
有名人やメディアといった媒体を通して評価されている事実をキャッチコピーに加えて活用すると、女性をはじめターゲット層全体に信頼度を高める影響を与えられます。
- 「人気モデル〇〇愛用」
- 「○○受賞」「最高金賞受賞」
- 「○○大学〇〇教授監修」「東大卒のCEOが開発」
ポイント⑦:意外性で惹きつける
キャッチコピーに「意外性」を持たせれば、一目で関心を引きつけるような強いインパクトを与えられます。
既存の常識を覆すような内容であればあるほど、顧客の「試してみたい」という好奇心をくすぐり、購入意欲へとつながりやすくなります。
例えば、「アルコールは体に悪い」という常識が一般的なところに、「飲むだけで健康になれるお酒」というキャッチコピーが目に入れば、「そんなお酒あるなら飲みたい!」と多くの顧客の関心を引きつけることができるでしょう。
キャッチコピーを考える際は、自社商品の魅力や他社商品との違いを考えながら、意外性のある切り口で魅力を伝えるようにしましょう。
ポイント⑧:限定性を打ち出す
キャッチコピーに限定感のあるフレーズを盛り込むことで、顧客の購買意欲を高められます。
なぜなら、人間には限定性に弱い心理があるためです。
「限定」と聞くと希少価値が高まるように感じられたり、顧客は「今買わないと買えなくなってしまう」という焦燥感に駆られてしまうのです。
- 期間限定
- 数量限定
- 限定◯◯名まで
限定感を出す場合は、今買うことに対するベネフィットをしっかり伝えることも重要です。
例えば、ダイエット系の商品であれば「今から始めれば夏に間に合う!」などのコピーを入れると、今すぐ購入すべき「理由」を顧客に伝えることができます。
また「今購入すれば半額」といったようなプラスアルファの価値があると、より顧客の焦燥感を高め、購入へつながりやすくなります。
既存顧客の口コミやレビューを分析することも、キャッチコピーの作成に役立ちます。
分析によって、改めて顧客目線での自社の商品・サービスの魅力を理解できるようになります。
また、顧客のニーズを深く理解することで、悩みや課題に共感を生むフレーズや、ベネフィットが伝わる表現を考案しやすくなります。
キャッチコピー作成の流れ
ここからは、キャッチコピーを作成する流れを4つのステップで解説します。
キャッチコピーを作るうえでまず重要なのは、ペルソナの設定です。
ペルソナとは、自社商品やサービスの典型的な利用者を具体化した人物像を指します。
ペルソナを作成する際は、実際に存在するユーザーのように、具体的な要素を肉付けして以下のように作り上げていきます。
▼ペルソナの例
名前 | 鈴木 花子 |
年齢 | 35歳 |
職業 | パート |
家族構成 | 夫・娘(小学2年生)の3人家族 |
世帯年収 | 800万円 |
居住地 | 東京都世田谷区 |
趣味 | DIY、韓国ドラマ、ヨガ、キャンプ |
ペット | 猫1匹 |
ペルソナを設定する理由は、具体的なお悩みやニーズを把握しやすくなるためです。
具体的なユーザーを想定することで、ターゲットに対する理解を深められ、よりニーズに即したキャッチコピーを作ることができます。
顧客に刺さるキャッチコピーを作るために、ステップ①で具体化したペルソナについて、さらに掘り下げて以下の内容を考えていきます。
- ペルソナが何を求めているのか(悩みやニーズの把握)
- ペルソナの求めていることに対して、自社商品やサービスができることは何か
ペルソナの抱えている悩みが想像しにくい場合は、ペルソナの年齢や職業などに近い人にインタビューして、意見を収集することもひとつの方法です。
また、Webサイトの口コミやSNSなど、インターネット上で公開されている情報を活用する方法もあります。
ステップ②でペルソナが抱えている悩みをリサーチした後には、その悩みに対する自社商品・サービスの強みをリストアップしましょう。
▼化粧水の例
自社の強み | |
価格 | 安い |
容量 | 多い |
成分 | 他社製品に配合されていない◯◯が配合されている |
肌への浸透率 | 高い |
ボトルデザイン | 有名デザイナー◯◯による個性的なデザイン |
競合他社と比較すると、自社の優れている点を見つけやすくなります。
また、自社の強みだけではなく、弱みもリストアップすることが重要です。
弱みをポジティブな視点から強みへと変化できれば、自社のアピールポイントとして訴求できます。
①〜③のステップを踏んだ後は、ペルソナが求めていることと、自社の強みをかけ合わせましょう。
自社の商品・サービスの強みがペルソナの求めに対して、どのように作用するのかを軸として考えてキャッチコピーを展開していくと、スムーズに作成しやすくなります。
ペルソナが求めているもの:「肌の乾燥が気になるけれど、高い化粧品を買う余裕はない」
✖️
自社の強み:「高浸透率で、大容量かつ低価格。◯◯成分配合」
↓
掛け合わせる:「お肌の乾燥が気になる季節。
◯◯成分配合の高浸透率化粧水を毎日たっぷり使って、潤いケア」
まとめ
キャッチコピーは、マーケティングにおいて自社の認知度や商品の売れ行きを左右する重要なツールです。
自社商品の魅力を一目で伝えられるキャッチコピーを作成できれば、企業としても成長の波に乗ることができます。
キャッチコピーのベネフィットを最大限引き出すためのポイントは以下の8つ。
- ターゲットを明確にする
- できるだけシンプルにする
- ベネフィットを明確に伝える
- 数字を含めて説得力を高める
- 簡便性を訴求する
- 権威性を借用する
- 意外性で惹きつける
- 限定性を打ち出す
キャッチコピー作成の際は、具体的なペルソナを設定し、顧客ニーズと自社商品の魅力をかけ合わせながらキャッチコピーを考えていきましょう。
伝えたいことを1点に絞り、端的に良さを伝えたほうが、顧客には刺さりやすくなります。
今回紹介したさまざまなテクニックを活用して、「売れるキャッチコピー」を作成していただければと思います。