D2C事業を立ち上げたいという相談はとても増えています。
そこで一番質問が多いのが、「D2C事業立ち上げに費用はいくらくらいかかるのか?」という質問です。
本記事では、D2C事業立ち上げにかかる費用一覧を解説いたします。
商品ローンチまでに必ず発生する最低限の費用
D2C事業で商品ローンチまでに必ず発生する最低限の費用については下記の通りです。
- 商品代金(ミニマムロット)
- 商品の写真撮影
- LPの制作費
- カート
- 物流システム
上記があれば、一旦始めることは可能です。
一例として、『粉末剤形』の健康食品D2Cの一例を表でまとめました。
ケース①とにかくローンチだけを目的に目指す場合
とにかくローンチだけを目指すのであれば、下記の最低限の項目で立ち上げることは可能です。
項目 | 費用 | 備考 |
---|---|---|
商品デザイン費 | 200,000円 | ※フリーデザイナーの方へ商品デザインを依頼した際の費用 |
商品代金 (ミニマムロット) | 431,000円 | ※原価431円の商品を1,000ロット発注した際の費用 |
商品の写真撮影 | 200,000円 | ※商品撮影を最低限の金額で行った場合の費用 |
LPの制作費 | 200,000円 | ※LPの各要素を最低限のもので制作した場合の費用 |
カート代金 | 0円 | ※Shopify・Baseなど利用の場合は0円から利用可能 (単品リピート通販の場合、月額5万円ほどのSaaSを契約) |
決算手段の導入 | 50,000円 | ※クレジット決済やコンビニ後払い決済を導入するための費用 |
物流システムの導入 | 50,000円 | ※物流システムを導入した際の初期費用 (物流費用は、商品発注後の在庫費用や発送代行費用などが後々発生する) |
全ての項目を合わせて、合計1,131,000円ほどになります。
本当に最低限の予算でやりくりするのであれば、上記の費用で始められなくはありません。
事業として成り立たせる収益化をするのであればある程度の資金は必要
総合型ECと比べて商品数が1点から始められることで、「低予算で始められる!」と少額の予算で始めてしまうD2C事業者が多いですが、安定した『収益化』を目指すのであれば余裕を持った資金を用意しなければ厳しいです。
上記のように、最低限の費用に絞ってD2C事業を始めても、ほとんど利益が立たないというケースは往々にしてあります。
D2C事業は特に、最初から黒字になるケースは稀で、赤字を垂れ流した後に、黒字化することがほとんどです。
最初の半年~1年間は初期投資(商品開発費や広告費など)による赤字を覚悟しておく必要があります。
ケース②現実的な最低限の予算で行う場合
事業として成り立たせる収益化を目標として実施する場合は、下記のような費用を想定しておきましょう。
項目 | 費用 | 備考 |
---|---|---|
商品デザイン費 | 200,000円 | ※フリーデザイナーの方へ商品デザインを依頼した際の費用 |
商品代金 (ミニマムロット) | 2,155,000円 | ※原価431円の商品を5,000ロット発注した際の費用 |
ブランドブック | 193,500円 | ※5,000ロット発注した際の費用 |
A5チラシ両面カラー | 8,000円 | ※5,000ロット発注した際の費用 |
Thanksカード A6モノクロ | 29,000円 | ※5,000ロット発注した際の費用 |
商品の写真撮影 | 200,000円 | ※商品撮影を最低限の金額で行った場合の費用 |
LPの制作費 | 500,000円 | ※LPの長さや質によって金額は大きく変動する |
カート代金 | 50,000円 | ※単品リピート通販用のSaaSを契約時の初期費用 |
決算手段の導入 | 50,000円 | ※クレジット決済やコンビニ後払い決済を導入するための費用 |
キャスティング | 100,000円 | ※無名な方をクラウドキャスティングで起用した際の費用 |
物流システムの導入 | 50,000円 | ※物流システムを導入した際の初期費用 (物流費用は、商品発注後の在庫費用や発送代行費用などが後々発生する) |
コールセンター代行 | 100,000円 | ※コールセンター代行の初期費用 |
全ての項目を合わせて、合計3,635,500円ほどになります。
D2C事業に本腰を入れ、収益化を目指すのであれば、最低限350~500万円はマストで用意しておきたいところです。
上記は、商品ローンチまでにかかる最低限の費用ですので、ここから販売開始後には広告費や人件費、発送代行費などのランニングコストがプラスでかかってくることも念頭に置いておきましょう。
年商数十億を目指す場合の、商品ローンチまでに必ず発生する費用
次に、年商数十億円の売上を目指す場合に、発生する費用を見ていきましょう。
前章の項目と大きく変わるわけではありませんが、発注ロット数の変化やインタビューにかかる金額などが増加しています。
項目 | 費用 | 備考 |
---|---|---|
商品デザイン費 | 300,000円 | ※デザイナーの方へ商品デザインを依頼した際の費用 |
商品代金 (ミニマムロット) | 21,550,000円 | ※原価431円の商品を50,000ロット発注した際の費用 |
ブランドブック | 387,000円 | ※10,000ロット発注した際の費用 |
A5チラシ両面カラー | 16,000円 | ※10,000ロット発注した際の費用 |
Thanksカード A6モノクロ | 58,000円 | ※10,000ロット発注した際の費用 |
座談会チラシ A3カラー | 29,000円 | ※10,000ロット発注した際の費用 |
臨床試験の実施 | 500,000円 | ※エビデンスのための臨床試験を実施した際の費用 |
商品の写真撮影 | 300,000円 | ※商品撮影を最低限の金額で行った場合の費用 |
LPの制作費 | 800,000円 | ※LPの長さや質によって金額は大きく変動する |
カート代金 | 50,000円 | ※単品リピート通販用のSaaSを契約時の初期費用 |
決算手段の導入 | 50,000円 | ※クレジット決済やコンビニ後払い決済を導入するための費用 |
キャスティング | 1,500,000円 | ※芸能人やインフルエンサーなどキャスティングで起用した際の費用 (大手だと、20,000,000円を超えるケースもあるためピンキリ) |
物流システムの導入 | 50,000円 | ※物流システムを導入した際の初期費用 (物流費用は、商品発注後の在庫費用や発送代行費用などが後々発生する) |
コールセンター代行 | 300,000円 | ※コールセンター代行の初期費用と専属CSチームの構築 |
全ての項目を合わせて、合計25,890,000円ほどになります。
D2C領域に携わっていない企業からの新規参入で、年商数十億円を目指すのは少ないです。
上記のような費用を用意して、挑戦する場合は、別D2C事業を展開している子会社や、先人のD2C企業やASPなどから融資を受けている資金が豊富な会社が多いです。
年商数十億円を狙う場合に費用が跳ね上がるのは単純で、商品ローンチ後に一気に広告費を投入し、多くのユーザーへリーチさせます。
そのため、在庫が無くならないよう初期ロット数の発注数が多く、売れるための要素(臨床試験結果やキャスティング、各種コンテンツ)などを最初から用意するため、非常が倍増します。
それ以外にも、多大な時間をかけた商品開発、販売を拡散するためのASPの方々と事前に提携、各部署ごとにスペシャリストたちを組織していたりするため、なんとなく参入した企業では到底太刀打ちできないことを覚えておきましょう。
その他商品ローンチ前に発生する可能性がある費用
その他必須ではないが、発生する可能性がある費用については一部ご紹介します。
項目 | 費用 | 備考 |
---|---|---|
消費者インタビュー (ユーザーアンケート) | 600,000円 | ※商品開発の際に、その商品のニーズがあるかどうかを調査する ための費用 |
ドライテスト or 類似商品でアドアフィ | 200,000円 | ※実際に広告を回して商品が売れるかどうか テストマーケティングする際に発生する |
OEM試作品の発注 | 30,000円 | ※試作品を製造してもらう際に費用が発生する場合がある |
ブランドサイトの制作費 | 500,000円 | ※LPだけあればD2C事業は始められるが、別途ブランドサイト を最初から用意したい場合は、制作費が発生する |
LINE構築 | 300,000円 | ※LINE構築や最低限のステップメールを依頼する場合発生する |
販促ツール各種 | -円 | ※チャットボットやヒートマップツール、アド管理ツールなど、 広告運用を加速させるためのツール費用 |
上記のような費用が、発生するケースもあります。
特にD2C成功の鍵は『商品開発』です。
素晴らしい商品なくして、D2C事業の長期成功はあり得ません。
商品開発には時間をかけるべきで、ユーザーに直接アンケートを行ったり、ユーザーの行動ニーズを深掘りし、議論していくとなると、『消費者インタビュー』は外せません。
D2C事業には、様々な落とし穴がありますので、事前によくある失敗要因については把握しておきましょう。
商品販売後にかかる費用(ランニングコスト)
商品販売後に、どれだけのランニングコストがかかるかは、売り方や広告費によって大きく変動します。
ランニングコスト、ほとんど発生しないケースもありますし、数億円規模で発生している企業もあります。
そこで、よく発生する項目の一例を各項目ごとに解説します。
①広告費(主にWeb広告)
広告費をかけず、自社メディアやSNSなどのみで販売する場合は、全くかからないケースもあります。
しかし、多くの場合、販売力をもったメディアやSNSを持っているわけではないため、広告費が発生します。
年商数十億円の企業ともなると、月に数千万~数億円の広告費を捻出していることは当たり前です。
採算が合えば、際限なく広告費を捻出する企業があるため、上記のような金額感になるのです。
②ECカート
従量課金制を導入しているECカートを使用している場合は、月額の利用料約50,000円と合わせて、一件あたり数十円の金額を支払うことになります。
Web広告を活用したサブスクリプションモデルのD2C事業を展開する場合、様々なオプションや機能を搭載することになるため、費用は月に数百万円になることもあります。
③在庫保管・配送代行などの物流コスト
物流を自社ですべて賄うのは難しいため、基本的には『物流システム・在庫保管・配送代行』などは外注します。
提携する物流会社様によりますが、各コストイメージのために一例を記載します。
項目 | 数量 | 単価 | 合計金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|
入庫処理料 | 5,000個 | 18円 | 90,000円 | ※数量検品、外装検品、バーコードシール貼り…など |
不明商品処理手数料 | – | 30円 | – | ※登録料30円 / 保管料は別途 |
保管料 (60サイズ) | 5,000個 | 1円 | 5,000円 | ※5,000個を補完した場合、1日当たりかかる金額 |
配送料金 (60サイズ) | 500個 | 700円 | 350,000円 | ※500個配送した場合にかかる発送代行金額 |
ピッキング (60サイズ) | 500個 | 26円 | 13,000円 | ※500個ピッキングした場合にかかる金額 |
海外配送手数料(60サイズ) | – | 300円 | – | ※手数料のみの金額 |
海外配送料 | – | 3,465円 | – | ※EMS運賃で計算した場合の金額 |
返品処理手数料 | 1個 | 300円 | – | ※返送料金の着払い料金発生時は別途金額が必要 |
管理費 | 1ヵ月 | 0円 | 0円 | ※管理費がかからないケースは多い |
システム利用料 | 1ヵ月 | 10,000円 | 10,000円 | ※システム利用料は0円~3万円のケースが多い |
物流会社、各社金額はもちろん異なりますので、上記はあくまで一例として参考にしてください。
④コールセンターでの受電代行費用
コールセンターすべてを自社で抱えるのは現実的ではなく、大概が外注します。
初期導入費用として、約100,000円ほど発生し、1call単価650円~1,000円ほどが多いという印象です。
各コールセンターによって、強みや特徴・対応いただける範囲が異なるため、各社見積もりを取るのがおすすめです。
⑤人件費・スペシャリストアサイン費用
そして、人件費については、想定よりも多く見繕っておいた方がいいでしょう。
特に自社にD2C経験者がいない場合は、デザインやコーディング、Web広告の運用代行、コンサルティングなど、様々な業務をスペシャリストの方へが依頼します。
LPや各種クリエイティブなど、一度作ったものをそのまま使い続けるのは難しいため、制作リソースは常に確保しておく必要があります。
まとめ
D2C事業を行うには、様々な費用が発生します。
傍から見ると簡単そうに見えても、お客様の元に商品をお届けする前に多くの工程・組織が関わっています。
想定予算を超えるケースは往々にしてあるため、D2C事業に参入する際は資金をなるべく多めに用意しておきましょう。
全体でかかる費用だけでなく、立ち上げまでのロードマップについても把握しておくことで、イメージしやすいのでぜひ下記記事についてもご閲読ください。
D2C事業を新たに行いたいと検討している方は、ぜひ一度ジェネマーケへお問い合わせください。