日本で人気のD2Cブランドの成功事例をアパレルや食品など各ジャンル一覧ごとに解説

D2Cの成功事例・成功要因

D2C事業への参入を検討し始めたら、成功事例について学びましょう。

D2Cブランドは、「どれだけ多くの顧客に共感してもらい、コアファンを獲得できるか」が成功の鍵です。

この記事では、日本のD2Cブランド成功事例・成功要因を、各ジャンルごとに解説します。

同じD2Cブランドでも各ジャンルによって、それぞれの特徴や経営戦略など大きく違いますので1つずつ確認してきましょう。

目次
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D2Cブランドとは

D2Cブランドとは、『Direct to Consumer ブランド』の略称になります。
Consumer (コンシューマー) とは、日本語で消費者を指し、商品を直接消費者へ届けるブランドを指します。

より具体的に言うと、商品の企画・製造から、商品を販売するアプリ、通販サイトの運営まで、すべて自社で行い、直接消費者に販売するという取引形態で販売するブランドのことです。

D2C ビジネスモデル

D2Cとはそもそも何なのか?という詳細な内容を下記に記載しているので、D2Cブランドについて理解を深めたい場合はご参照ください。

D2Cブランドの成功事例<アパレル一覧>

日本には数多くのD2Cブランドがあり、近年、非常に高く注目されています。

まずは、アパレル業界から成功事例を見ていきましょう。

成功事例①:COHINA(コヒナ)

公式サイト https://cohina.net/

COHINA(コヒナ)は、身長140センチ以下から150センチ前後までの、低身長女性のための洋服を扱うアパレルブランドです。

2018年に創業した同ブランドは、ニッチな市場をコツコツと開拓してきました。
2022年現在、「小柄な女性が楽しむファッション=COHINA」と言われるような、確立したブランディングに成功しています。

COHINAが特に注力したのは、Instagramのライブ配信です。

配信を行っているのは身長155センチ以下の女性スタッフで、小柄な女性ならではのファッションの悩みを取り上げ、その解決策を毎日配信しています。

この配信内容が女性たちの共感を呼び、高いリピート購入率につなげています。

当初はSNS上での集客をメインに行っていたコヒナですが、近年はテレビコマーシャルに代表されるような、マス広告も積極的に導入しています。

カテゴリそのものの認知度や、ブランドの信用力の向上を目指し、あえて費用対効果の低い宣伝手法も取り入れているのです。

COHINA(コヒナ)の成功の秘訣

・毎日のSNSライブ配信によるコアファンの獲得
・あらゆる宣伝手法による、カテゴリそのものの認知度向上

成功事例②:FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)

公式サイト https://fabric-tokyo.com/

FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)は、2012年に創業のD2Cブランドです。

扱っているのはカスタムオーダースーツで、質の良い商品を低価格で提供しています。
店舗で測定したサイズ情報を登録すれば、ネット上でオーダースーツ・シャツの購入が可能になっています。

この斬新なビジネスモデルが、多くのユーザーに受け入れられ、人気D2Cブランドとして成長してきました。

当初はサイズ登録からネット上で完結する仕組みを採用していましたが、その後、顧客の声に応える形で店舗での計測スタイルに落ち着いています。
家で計測すると「正しく測れていないかもしれない…。」というユーザーの不満を、店舗での計測を活用することで解消できるので、ネット完結よりもCVRが高いそうです。

デジタル技術を応用した利便性と、店頭での顧客体験が、ファブリックトウキョウの強みです。
また既存のアパレル業界の仕組みからの脱却も、同ブランドが掲げるブランド理念の一つになっています。

明確な理念に共感するファンも多かったことも、成功の要因と言えるでしょう。

FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)の成功の秘訣

・利便性はもちろん、店頭スタッフによる独自の顧客体験を提供していること
・一貫したブランド理念に、多くの共感が集まったこと

成功事例③:HushTug(ハッシュタグ)

公式サイト https://shop.hushtug.net/

HushTugは、高品質でシンプルな革製品を手頃な価格で提供するレザーブランドです。

創業者はモンゴルへ単身移住した際の経験から「モンゴルから世界に通用するブランドを創りたい」「モンゴルに新しい産業を創ることに挑戦したい」という理念でD2Cブランドを立ち上げました。

製品には、すべてモンゴルレザーを使用しており、自社運営の工房もモンゴルにあります。
モンゴルから多くの雇用を生んでおり、モンゴルが抱える貧困などの社会問題の一助となっていることでしょう。

Noteにて、約32ヶ月で月商3,000万円を達成した全記録や、その他立ち上げの経緯についても詳しくまとめているのでぜひ参考してみてください。

公式Note https://note.com/hushtug/

HushTug(ハッシュタグ)の成功の秘訣

・モンゴルに新しい産業を創るという強い理念
・高品質なレザーを安く購買できること

D2Cブランドの成功事例<食品一覧>

成功事例①:BASE FOOD(ベースフード)

公式サイト https://basefood.co.jp/

2016年に創業したBASE FOOD(ベースフード)は、健康を維持するために必要な栄養素を全て含んだ、「完全栄養食」である主食を扱うD2Cブランドです。

2022年現在、

  • ベースブレッド
  • ベースパスタ
  • ベースクッキー

の3種類の商品を展開しています。

ベースフードの始まりはクラウドファンディングで、ブランド理念に深く共感するファンを数多く獲得しました。
商品発売開始からわずか2年で、累計販売食数100万食を突破し成長を続けています。

ベースフードが特に力を入れているのは、SNS上での顧客との対話です。
Instagram上でこまめにユーザーの声を募集し、届いた声に対しては丁寧に返信しています。

またコアファンによるアレンジレシピの投稿も多く見られます。
それらユーザーの投稿レシピを公式サイト上に掲載し、さらに宣伝効果を高めているのです。

BASE FOOD(ベースフード)の成功の秘訣

・クラウドファンディングによる理念の明確化と、ファンの獲得
・コアファンによる良い口コミの波及効果

成功事例②:snaq.me(スナックミー)

公式サイト https://snaq.me/

2015年創業のsnaq.me(スナックミー)は、お菓子の定期購入サービスです。

自然素材で作られたギルトフリースナックが、毎月サブスクリプションで提供されます。

スナックミーの特徴は、ユーザーとの接点の中からフィードバックやリクエストを受け、それを商品開発に役立てていることです。

ユーザーが求めるお菓子を製品化することで、顧客満足度の向上を実現しています。

また、単なる「おやつ」ではなく、「おやつを介した体験」ができる点も、特徴的です。

STEP
サービス登録者がサイト上で「おやつ診断」を行う
STEP
結果に合わせたお菓子が届く
STEP
顧客側からの要望を発信
STEP
スナックミーが開発・改善

どんなおやつが届くのか、ワクワクできる点もスナックミーの魅力です。

snaq.me(スナックミー)の成功の秘訣

・ユーザーの声を素早く商品開発につなげ、ニーズに対応し続けていること
・「おやつ診断」など、体験を通じてワクワクできる仕組みが整っていること

成功事例③:Mr.CHEESECAKE(ミスターチーズケーキ)

公式サイト https://mr-cheesecake.com/

2018年に、Instagramを通じてチーズケーキの販売をスタートしたのが、Mr.CHEESECAKE(ミスターチーズケーキ)です。

シェフこだわりのチーズケーキは、ECサイトからの完全受注生産のみに対応しています。

販売がスタートするのは、毎週日曜と月曜だけということもあり、その希少性の高さが話題となりました。
あっという間に売り切れてしまうケースも多く、SNS上では、「幻のチーズケーキ」と呼ばれることもあります。

販売スタートからすぐに知名度が上昇し、一気に人気スイーツの仲間入りを果たしました。

Mr.CHEESECAKE(ミスターチーズケーキ)の成功の秘訣

・シェフこだわりのチーズケーキの質が高かったこと
・SNSを上手に活用し、その希少性で話題になったこと

D2Cブランドの成功事例<化粧品一覧>

成功事例①:BULK HOMME(バルクオム)

公式サイト https://bulk.co.jp/

BULK HOMME(バルクオム)は、2013年創業のメンズスキンケアブランドです。

20代から30代の男性をターゲットに、洗顔料や化粧水、乳液などを販売しています。
もともと、ライバルが少なかった男性用スキンケア用品市場ですが、バルクオムはSNSマーケティングで頭角を現しました。

  • Instagram
  • Twitter
  • LINE

ターゲット層にとって身近なSNSを、最大限に活用したのは成功要因の1つです。

カッコ良さよりも、あえて日常的な雰囲気を出すなど、消費者目線を意識した広告で多くのユーザーを惹きつけました。
バルクオムは、ブランド設立当初から、「メンズスキンケアブランド世界シェアNo.1」という目標を打ち出しています。

2022年現在、日本以外にもアメリカやヨーロッパなど、多数の国や地域でブランド展開中です。

近年は、

  • 有名芸能人を起用したマス広告も積極的に導入
  • 小売店での販売にも注力する

など、新たな展開にも力を入れています。

BULK HOMME(バルクオム)の成功の秘訣

・SNSに特化したわかりやすく魅力的な宣伝
・「中身(バルク)にこだわる」という一貫した世界観

成功事例②:MEDULLA(メデュラ)

公式サイト https://medulla.co.jp/

2018年創業のパーソナライズヘアケアブランド「メデュラ(MEDULLA)」も、D2C成功事例の一つです。

5万通りの組み合わせの中から、ユーザーの髪質に合わせたケアアイテムを提案してくれるのが、メデュラの特徴です。
2020年8月には、月商3億円と急成長を遂げています。

メデュラの強みは、パーソナライズ(自分ごと化)です。

簡単な質問で個々に合った商品を提供することで、「膨大な市販品の中から、自分に合った商品を見つけ出せない」という不満を解消しています。

ECサイトでの販売で人気が確立した後に、実店舗での販売もスタートしました。

リアルな体験で得られる顧客満足度で、新たな一歩を踏み出しています。

MEDULLA(メデュラ)の成功の秘訣

・顧客の不満をくみ取り、パーソナライズで解決したこと
・顧客の期待を裏切らない商品を提供し続けるため、スピード感を持って商品の調整を行っていること

成功事例③:N organic(エヌオーガニック)

公式サイト https://n-organic.com/

2019年4月のTPCマーケティングリサーチの調査では、『Webで最も売れているオーガニックコスメ』として紹介されているのが、N organicです。

高品質なオーガニック成分で日々の美容ケアができ、化粧水と美容乳液で完結するスキンケアが手軽とのことで、忙しい現代女性を中心に人気を博しています。

N organicでは、徹底したペルソナへのヒアリングを行ったことで、消費者ニーズを深掘りすることができていることが大きな成長に繋がっています。

「20代は比較的、時間やお金を自分のために使えます。でも、30代以上になると仕事や子育てで忙しく、なかなか毎日豊かな気持ちで過ごすのは難しいのではないでしょうか。友人のお姉さんが30代で子育て中と聞くと紹介してもらい、実際に約50人にヒアリングを重ねました。」
「ペルソナ像となる女性たちに話を聞くと、『買い物に行く時間がないから、通販を利用している』『時間はないけどオールインワンは手抜きをしているみたいでイヤ』『安さで選ぶよりも、お気に入りのブランドを使いたい』『肌に良い成分を使いたい』といった声が上がってきました」

入社3年目の女性が開発 ウェブ通販コスメが大ヒット
N organic(エヌオーガニック)の成功の秘訣

・徹底したペルソナへのユーザーヒアリング
・通販で購買するけれど高揚感がある商品

海外のD2Cブランドは日本とどういった違いがあるのか

D2Cの本質としては大きく変わりません。
仲介業者を挟まずに、お客様に直接販売するビジネスモデルは同様です。

海外D2Cブランドと日本D2Cブランドの違いは下記が挙げられます。

  1. 販売手法が大きく異なる
  2. 売れ筋商品の特徴が異なる
  3. 消費財もD2Cで売れる

1つずつ確認していきましょう。

➊ 販売手法が大きく異なる

日本のD2Cブランドで、大きく規模を拡大したブランドの多くが、縦長のLPを活用した広告によるグロースです。

商品を購買した際のベネフィットをゴリゴリに訴求し、縦長のLPで訴えかけます。
こういった手法は、海外でみると珍しいため、同様の販売手法でアメリカや中国に進出して一切売れず撤退するというケースは多く存在します。

国ごと、ジャンルごとに販売手法は大きく異なるため、その国ごとの特色を掴む必要があります。

❷ 売れ筋商品の特徴が異なる

日本のD2Cブランドは、『値段は高いが質の良いもの』が売れる傾向にあります。

昨今の技術革新によって安くて質の良いものは巷にあふれているため、さらなる価値・ベネフィットを求め、値段が高いものでも売れています。

しかし、海外では『値段が安く質の良いもの』が売れる傾向にあります。

日本よりも、「値段が安くて質の良いものを買いたい!」というニーズが強いため、質が良くても高い商品は売れづらいようです。

❸ 消費財もD2Cで売れる

日本では、トイレットペーパーや清涼飲料水などの消費財D2Cブランドはあまり聞きません。

消費財は、ネットが普及した今でも近くのドラッグストアなどで購入する方は多いのではないでしょうか?

しかし、海外では消費財もD2Cで売れます。
例えばアメリカでは、国土が日本と比べ非常に広いため、行きたい店までかなり距離を要するというケースが考えられます。

わざわざ足を運ぶよりも、定期便で届けてほしいというニーズが強く、消費財もD2Cを通じて購入するケースが見受けられます。

まとめ

今回は、D2Cブランドの成功事例の一覧を各ジャンルごとに紹介しました。

どの企業も、ユーザー側の声を積極的に取り入れ、求められる商品を求められる形で提供している点が、成功の秘訣と言えるでしょう。

また、それぞれのブランドストーリーや世界観もはっきりしていて、「ユーザー側が共感しやすい」点も特徴の一つです。
インターネットやSNSの扱い方に優れている点も、ぜひ真似したいところです。

ただ気を付けておかなければいけないのは、成功事例は汎用性が低い可能性があるということです。
様々な外的要因なども含め成功していることは往々にしてあるため、失敗要因についても合わせて把握していただけると幸いです。

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