リスティング広告は、WEB広告メニューの中でも費用対効果が高い広告メニューとして有名です。
また比較的少額からでも始めることが出来るため、少ない費用で多くの利益を獲得できる可能性が高い集客方法になります。
WEB広告で売上をアップさせたい方にとって、「まずはリスティング広告から挑戦したい!」と思われる方も多いのではないでしょうか?
D2Cで売上拡大を行うためにも最初に『利益の基盤』を作ることが重要となりますが、リスティング広告はその役割を果たすことが出来る有力な集客方法です。
今回はリスティング広告に関わる費用や広告代理店などに外注するメリット、そして費用対効果を高めるためのポイントについて解説します。
この記事では、リスティング広告の配信を検討している方へ、
- リスティング広告の配信準備などに必要な費用
- 配信開始時に必要となる広告費用の相場や目標に合わせた広告費の計算方法
- 広告投資の費用対効果を高める3つのポイント
について解説します。
リスティング広告に関する費用
リスティング広告の費用は大きく分けると次の2つです。
- 広告配信そのものにかかる費用
- 初期設定などの配信開始までにかかる費用
1つずつ解説します。
広告配信そのものにかかる費用
WEB広告の課金方法は下記の2つが主流となっております。
- インプレッション課金
- クリック課金
リスティング広告では『クリック課金』が採用されています。
広告配信そのものに費用が発生する『インプレッション課金』の広告メニューと比較すると、『クリック課金』はユーザーが広告に興味を持ってクリックされた時にのみ費用が発生するため費用対効果が高くなる傾向にあります。
このクリックに対して支払う費用のことを『クリック単価(またはCPC)』と呼び、広告の費用対効果を分析するための重要指標になっています。
リスティング広告では『検索行動』という能動的なアクションを起こしたユーザーへ広告を配信することが出来るという特徴があります。
「まさに今、その情報について知りたい!」と思っているユーザーへアプローチすることで、商品購入のタイミングを捉えることが出来る可能性が高く、売上に繋がりやすい傾向にあります。
よって、ユーザーが誤解をしてしまう内容(例:定期購入を申し込まないと適用することが出来ない値引き率)を広告文に入れてしまうと、売上につながらないユーザーのクリックばかりが増えてしまい、費用対効果が悪化する可能性が高くなります。
ユーザーが誤解してクリックするような表現を使用するときは、費用対効果が悪化しないか注意が必要です。
次にクリック単価がどのように決まるのかについて解説します。
クリック単価は『オークション制』によって決まる
クリック単価は、『オークション制』によって決まっています。
リスティング広告では、同じ検索キーワードに対して複数の企業が広告を配信するためのオークションに参加しています。
オークションは広告の配信機会が発生する度に行われ、『広告配信の権利と広告掲載の順位』を獲得するために複数の企業が入札を行っています。
このオークションではキーワードごとに設定されている『入札価格』が使用されており、より高い入札価格を設定している企業の広告は配信されやすくなります。
クリック単価は業界やサービスによって様々ですが、一般的に1件の申し込みや購入に対して多くの利益を得ることができる商品やサービスを宣伝するために広告を配信するキーワードはクリック単価が高くなる傾向にあります。
キーワードごとのクリック単価の水準は、GoogleやYahooが無料で提供しているツールを使うことで簡単に調べる事が出来ます。
Googleのキーワードプランナーは非常に使いやすく、また広告配信を行わなくても無料で使用できるためおすすめです。
初期設定などの配信開始までにかかる費用
リスティング広告配信のためには初期設定を行ったり、ランディングぺージを準備する必要があります。
ここではポイントを抑えて必要な対応事項を紹介します!
もし、自社ですべて対応することが難しいようであれば、外部に依頼する必要があるため追加で費用が発生すると覚えておきましょう。
広告配信の開始までの具体的な流れは下記の通りです。
- 広告アカウントの開設(Google/Yahoo!)
- キーワード選定
- アカウント構成の設計
- キーワードや広告文の入稿
- 効果測定用タグの発行とサイトへの設置
上記の5つのステップは初期設定として対応する必要があります。
例えば、キーワード選定の段階で広告配信を行うべきキーワードに漏れがあると大きな機会損失となります。
初期設定の段階で、このようなトラブルを起こさないように注意しましょう。
また、D2Cでは広告配信用に専用のランディングページを準備することが一般的です。
商品の特性や消費者にとってのメリット等を分かりやすく紹介するランディングページを準備することで、クリックしたユーザーが商品を購入する確率が上昇し、費用対効果を高めることが可能です。
ただし本当に広告用のランディングぺージが必要か、疑問に思われる方もいると思います。
このような疑問をお持ちの方に、ランディングぺージの必要性を判断するおすすめの方法をご紹介します。
ランディングページの必要性を判断する方法
ランディングページの必要性を判断するためには、実際にユーザーになったつもりでキーワードを検索し、既に配信されている競合他社の広告のランディングページを確認してみましょう。
調べた結果、競合他社が広告に専用のランディングページを設定している場合は自社の広告でも専用のランディングページを準備する重要性が高いと考えられます。
比較検討を行っているユーザーの視点に立って考えると、商品の詳細情報のみを紹介されるよりも『商品のメリット』や『今、商品を購入する理由』を分かりやすく伝えている企業の商品を選んでしまうユーザー心理をイメージすることが出来ます。
このような場合、『ランディングページの作成』も必要な費用と考えて準備することをおすすめします。
広告予算の決め方
リスティング広告開始時の予算の決め方について紹介します。
ここでは一般的な広告費の相場と、各企業の目標に合わせた広告予算の計算方法を見ていきましょう。
広告予算の相場は20万円から30万円
リスティング広告を始めるときの広告予算の相場は20~30万円程度です。
リスティング広告の配信に最低限必要な費用は1,000円ですが、あまりにも広告費用が少ないと成果を改善するための分析に必要なデータを確保することが出来ないなどデメリットも多いため、20万円程度の金額から始めることが一般的です。
リスティング広告は配信実績をもとに分析を行いつつ中長期的に成果を改善することが重要な広告メニューのため、ある程度の配信実績データを貯めることができる金額から広告を開始することをおすすめします。
データを貯めて適切な分析を行うことが出来れば、費用が少なすぎる場合と比べてより早く・効率的に売上げアップを達成できる可能性が高くなります。
また、運用業務を広告代理店などの外注する場合、依頼を受ける際の最低出稿金額も20~30万円程度に設定されていることが多いため運用業務の外注を検討されている方は20~30万円の広告費が必要と覚えておきましょう。
企業別の目標から計算する
リスティング広告で獲得したい売上目標は企業ごとに異なると思いますので、目標に合わせた広告費の計算方法もご紹介します。
よく使われる広告費の計算方法は下記の2つになります。
- 目標コンバージョン数
- 上限コンバージョン単価
計算の前に、コンバージョン数とコンバージョン単価について簡単に説明します。
コンバージョン数とは、WEB上の目標件数を表す指標です。
D2Cであればコンバージョン数は、商品の購入件数や定期購入の申込み数などが該当します。
商品の購入件数や定期購入の申込みの目標数が、『目標コンバージョン数』となります。
コンバージョン単価とは、1件のコンバージョンを獲得するために必要な費用を表す指標です。
広告費を投資してコンバージョンを獲得しつつ利益を残す場合、コンバージョンを1件獲得するために最大限投資することが出来る費用が『上限コンバージョン単価』となります。
それでは実際に、目標コンバージョン数と上限コンバージョン単価を使って広告費用を計算してみましょう。
広告費用は【目標コンバージョン数×上限コンバージョン単価】で計算することが出来ます。
例えば10件を目標コンバージョンとし、利益を残すための上限コンバージョン単価が10,000円の場合は次のような計算を行います。
10件 × 10,000円 = 100,000円
この計算式を使えば、簡単に広告費用を計算することができます。
運用を外注するための費用やメリット
リスティング広告の運用は自社(または広告主ご自身)で運用する『自社運用、またはインハウス運用』と、広告代理店などに依頼して運用してもらう外注という方法があります。
外注する場合は最低出稿金額(=20~30万円ほど)の問題をクリアした上で運用代理手数料を支払うか、運用業務に対する固定費を支払う必要があります。
費用を支払う代わりに、運用に関わる業務のほとんどを代行してもらう事ができます。
外注費用は広告費の20%が相場
リスティング広告の運用を外注するために必要な費用は、広告費に対して20%というのが相場です。
例えば、30万円の広告運用を依頼する場合は、【30万円×20%=6万円】が外注のために必要な費用となります。
外注先によっては対応する業務を簡略化する代わりに外注費を抑えることができたり、フリーランスの方へ依頼すれば相場より外注費用を安く抑えることが可能です。
ただし外注費用が安い代わりに運用スキルに不安があったり、成果報告などの対応面に満足できないなどのデメリットもあります。
外注費と運用に関するスキルや対応内容はトレードオフの関係になることが多いため、目的や対応してほしい内容をある程度整理した上で外注先を探すといいでしょう。
次に、一般的な外注費用と外注することのメリットを紹介します。
外注するメリット
リスティング広告の運用を外注することで多くのメリットを得ることができます。
一般的な外注のメリットは次のとおりです。
- 成果を出すための専門的な知識を持っている人に運用してもらえる
- 日々対応が必要な調整業務を効率的に行ってもらえる
- 同じ業界や似た商材の広告運用で得たノウハウを活用してもらえる
- GoogleやYahoo!等の媒体社から得た最新の情報を共有してもらえる
リスティング広告の運用で成果が出せずに配信を停止してしまう理由は大きく2つあります。
1つ目は、初期設定や改善施策の回し方などの運用に対する知識不足によって成果を改善することができないことです。
リスティング広告の運用ではアカウント構成の作成や、機械学習が使われている自動入札機能の正しい活用など成果を出す上では専門的な知識が必要です。
そしてリスティング広告の配信を行っている多くの企業では、これらの専門的なノウハウを持った人たちが広告を運用しています。
広告運用に関するノウハウがあまりない企業にとって、リスティング広告運用に長けた人たちに運用力で勝つことは非常に難しくなります。
一方で広告代理店などを活用すれば自社のリスティング広告も専門的な知識を持った人に運用を行ってもらえるため、競合他社と同じ条件で戦うことができます。
知識の差によって不利な戦いにならないためにも、豊富な知識を持った専門の方に運用をお願いすることを検討してみましょう。
もう1つの停止してしまう理由は、リスティング広告の運用で対応することが多すぎて手が回らず、結果として改善に必要な分析や施策を十分に行えないことです。
リスティング広告の運用では、毎日変化する実績に合わせて対応する必要があります。
特に、運用業務の中でも広告予算の調整や、成果の悪いキーワードの入札価格の調整などは毎日行うことが理想です。
これらの毎日行う必要がある運用業務に加えて、成果を改善するためには競合状況を確認したり、市場ニーズの変化を知るための分析が必要です。
事業主の方などはリスティング広告の運用業務以外にも多くの業務を抱えている事が多く、リスティング広告に対して必要な分析時間を確保することが出来ないケースは珍しくありません。
特に、最初のうちは広告管理画面の使い方を勉強したり運用で見るべきポイントも把握できていないため、業務効率が低いという問題もあります。
上記のような問題を解消するためにも、運用業務を外注することは有効な解決策になります。
広告代理店などの外注先はこれらの運用業務を長年対応しているため、少ない時間でも効率よく業務を行うためのノウハウや企業によっては独自のツールを保有しています。
対応が必要な業務を効率化することで浮いた時間を使い、必要な分析などを行ってもらえれば中長期的に成果を改善する事ができます。
手数料を気にして外注を敬遠される方もいますが、広告配信を継続させて中長期的に売上を伸ばしていくためにもリスティング広告の運用を外注するというのは1つの有効な手段になります。
費用対効果を高めるポイント
リスティング広告の費用対効果を高めるポイントについて紹介します。
仮にリスティング広告の運用を外注する場合でも、抑えておくべきポイントを知っておけば外注先の運用者に対して的確な指示を行うことが出来るので参考にしてみてください。
リスティング広告を開始する前に意識するべき費用対効果を高めるポイントは次の3つです。
- 広告を配信するターゲットを明確にする
- 検索キーワード・広告文・ランディングページに統一感を持たせる
- アカウント構成にこだわる
1つずつ解説します。
➊ 広告を配信するターゲットを明確にする
まずはリスティング広告を配信するユーザーについて深く考えます。
「ユーザーは検索によって何を知りたいのか?」
「ユーザーは商品を購入することで何を叶えたいのか?」
「似たような商品が世の中にたくさんある中で、なぜ自社の商品を買おうと思ったのか?」
このようにユーザー視点になって考えることはとても大切です。
この作業を行わず、いきなりリスティング広告を配信するキーワードの選定を行ったとしても、数多くのキーワードの中からどのキーワードへ広告を配信するべきか決めることが難しくなります。
リスティング広告では業界や商品によってコンバージョンが獲得しやすい「まずは抑えておきたいキーワード」というものがあります。
しかし、「まずは抑えておきたいキーワード」はどこの企業も入札を行っているため非常にクリック単価が高く、広告費が少ない最初の段階では費用対効果が見合わないケースがほとんどです。
少額の時こそ『狙うべき検索ニーズやターゲット』に費用を集中的に投下し、効率よくコンバージョンを増やすことが大切です。
そのためにキーワード選定を行う前にターゲットを明確にする作業を行いましょう。
ターゲットを明確にするためには、次のことを具体的にイメージ出来ていると良いです。
- ユーザーが検索を行った背景
- 購入を検討しているユーザーが集める可能性が高い情報
- ユーザーが商品を購入する際に不安に感じること
- ユーザーが商品を購入する際に重要と考える要素
- 購入しようと考えているユーザーが検索すること
これらを最初に整理しておくことで、この後の作業であるキーワードの選定や広告文の訴求作成、そしてランディングページに含める情報の決定などの作業全体で統一感を持つことが出来ます。
❷ 検索キーワード・広告文・ランディングページに統一感を持たせる
先程紹介した『ターゲットを明確にする』という事が出来ていれば、自然と検索キーワード・広告文・そしてランディングページの3つの要素に統一感を持たせる事ができます。
それでは3つの要素に統一感を持たせることで費用対効果を改善することが出来る理由を解説します。
結論から言うと、検索して情報を調べている時に『知りたいことの答えとなる情報(=検索意図に対する答え)』が見つかればユーザーはスムーズに購入プロセスを進んでくれるためです。
購入プロセスは、『興味→検討→購入』の順で進みます。
例えば、【ダイエット 脂肪燃焼】と検索したユーザーの検索意図は、脂肪を燃焼させてダイエットするための方法を知ることです。
よって、検索結果に『脂肪燃焼させるおすすめのダイエット』等の広告文が配信されていれば、ユーザーがクリックする可能性は高いです。
一方で、『おすすめの筋トレ方法』という広告文を出しても、ユーザーの検索意図に対して直接的に答えているわけでは無いためクリックされる可能性は低くなります。
更にクリック後のランディングぺージでのコミュニケーションも重要です。
先ほどの『脂肪燃焼させるおすすめのダイエット』と広告文に載せた場合は、ランディングページでも脂肪燃焼させるダイエットについての情報を載せる必要があります。
ここで健康になるための方法を紹介すると、ユーザーはランディングページから離脱してしまい他社サイトへ移ってしまう可能性が高くなります。
上記のようにユーザーが知りたい情報に対してマッチしていない広告文を配信したり、ランディングページで求められていない情報を記載し過ぎると費用対効果を下げる原因になります。
よってユーザーが知りたいと思っている事が反映されている検索キーワードを軸として、広告文とランディングページで答えとなる情報を伝える事がリスティング広告の費用対効果を高めるために重要となります。
商品のセールスポイントを伝えることも大切ですが、ユーザーが商品に興味を持つ前に購入プロセスから離脱してしまわないように『答えとなる情報を提供する』という大前提を忘れないように注意しましょう。
❸ アカウント構成を注力しよう
最後にアカウント構成について解説します。
リスティング広告では非常に多くのキーワードを管理することになります。
そして多くのキーワードを検索ユーザーのニーズごとにカテゴリ分けし、検索によってユーザーが知りたい情報を提供するための広告文とランディングぺージを適切に管理するための重要な要素がアカウント構成です。
リスティング広告の費用対効果に最も大きな影響を与える要素はアカウント構成であり、リスティング広告運用の最重要ポイントとなっています。
アカウント構成が整っていないと、検索キーワードに対して適切ではない広告文やランディングぺージが配信されてしまい、購入プロセスから離脱するユーザーが増えてしまうことで費用対効果が悪化します。
Googleはアカウント構成についてHagakure(ハガクレ)と呼ばれる推奨設定を紹介しているので、最初はHagakureに沿ってアカウントを作成することをおすすめします。
広告運用を外注した際は、外注先がHagakureを意識してアカウント構成を作成しているか必ずチェックするようにしましょう。
まとめ
この記事ではリスティング広告に関する費用と費用対効果を高めるために重要なポイントについて解説しました。
リスティング広告では検索しているユーザーに、自社の商品を『価値のある情報』と思ってもらえるかどうかがとても重要です。
そのためには今回紹介した費用対効果を高めるために重要なポイントを抑えつつ、配信実績を使って分析や施策を中長期的に行っていく必要があります。
運用にある程度時間がかかるリスティング広告では、時間を確保できないと成果が出しにくいケースも多いため、自社運用や外注などの運用方法から自社に合わせたものを選択するといいでしょう。