ネットショップを運営する上で、無視できないのが配送手段です。
どの配送方法を選択するのかによって、配送コストはもちろん、顧客に与えるイメージは大きく変わってきます。
この記事では、
- メール便と宅配便の特徴
- 配送方法を選ぶ際に重視したいポイント
- 各社サービス内容とその比較
について、詳しく解説します。
D2Cの主な配送方法・種類
主な配送方法は、メール便と宅配便の2種類があります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
❶ メール便の特徴
- 安心やスピードよりも安さ (配送コスト) にこだわりたい
- 商品単価が低い
- 商品が軽量・薄型
- まずは無料サンプルを、気軽に試してほしい
メール便で送付できる荷物のサイズには制限があるため、まずは商品の形状が規定の範囲内なのか確かめる必要があります。
とりわけ化粧品のD2Cでは、まずは試供品を使ってもらうことが重要です。
たとえ配送に多少時間がかかっても、低コストで大量の見込み顧客の元に商品を届けることが可能です。
❷ 宅配便の特徴
- メール便の規定外のサイズの商品
- 商品単価が高額 (配達員から手渡しで確実に届けたい)
- 冷蔵・冷凍の商品
- 割れ物・壊れ物を安全に届けたい
メール便とは異なり、商品のサイズや重量、送付先までの距離によって料金が変動します。
冷蔵・冷凍・割れ物など、幅広い商品に対応しており、あらゆるD2Cショップにとって便利な配送手段だといえるでしょう。
- 宅配会社によって、料金や割引制度、扱う荷物のサイズなど、細かな点に違いがあります。
- 各業者が提供している値引きサービスを活用すれば、コスト負担を軽減できる可能性もあります
D2Cで配送方法を選ぶ際に重視したいポイント
配送方法を選ぶ際には、以下の3つの項目を意識してみてください。
- コスト
- スピード
- 安心度
多少時間はかかっても、できるだけ安い配送手段を選択するべきでしょう。
例えば、価格1,000円の商品に対して、700円の送料がかかる場合、顧客の離脱リスクは高まります。
商品価格とのバランスを踏まえて、顧客にとって負担のない範囲におさめたいところです。
できるだけ早く手元に届いてほしい場合には、スピードを重視した方が喜ばれます。
ネットショッピングのレビューに、「配送が早くて助かりました!」という書き込みは多く見られるでしょう。
配送のスピードによって、顧客満足度にも大きな影響が出てくるのが現実です。
万が一、配送中に 商品の破損・紛失があった場合、顧客からの信頼は低下してしまいます。
配送中に何かしらのトラブルが発生した場合でも、追跡が可能な配送方法の場合、詳細な情報を追求しやすいでしょう。
また、紛失・破損時の補償がしっかりしている配送方法ならば、比較的高額な商品でも安心して送付できます。
どの項目を重視するのかによって、最適な配送手段は異なりますので、メリットとデメリットをしっかりと理解した上で、選択する必要があります。
メール便サービス 各社比較
ではここからは、各配送方法について、より具体的な条件・料金・注意点等をチェックしていきましょう。
各社が提供するメール便の中でも、ネットショップにとって利便性の高いのは、下記3種類です。
ゆうメール | ゆうパケット | ネコポス | |
---|---|---|---|
重量 | 1kg以内 | 1kg以内 | 1kg以内 |
縦 | 34cm以内 | 計60cm以内 (34cm以内) | 23cm以上~ ~31.2cm以内 |
横 | 25cm以内 | 計60cm以内 | 11.5cm以上~ ~22.8cm以内 |
厚さ | 3cm以内 | 計60cm以内 (3cm以内) | 2.5cm以内 |
料金 | 180円~ | 250円~ | 上限385円 |
配達スピード | 1~6日程度 | 1~2日程度 | 最短翌日配送 |
追跡サービス | 無 | 有 | 有 |
日付指定 | 可 (オプション) | 不可 | 不可 |
着払い | 可 (オプション) | 可 (オプション) | 不可 |
補償 (責任限度額) | 無 | 無 | 上限3,000円 |
❶ ゆうメール (日本郵便)
重量 | 1kg以内 |
サイズ | 縦34cm以内・横25cm以内・厚さ3cm以内 |
料金 | ~150g:180円 ~250g:215円 ~500g:310円 ~1kg:360円 ※荷物の重量によって料金が変動 ※全国一律料金 |
配達日数 | 1~6日程度 |
発送可能なもの | ・書籍 ・雑誌 ・商品カタログ ・CDやDVD ・上記の内容物に関わる付録 (ただし、内容物よりも軽いものに限る) ・何らかの注文を促すための商品見本 など |
利用方法 | ・「ゆうメール」と記載し、内容物を確認できるようにする ・ 郵便局の窓口、または郵便ポストから発送 |
備考 | ・日付指定、着払い、速達、簡易書留可 (別途オプション費用) |
ゆうメールは、日本郵便が提供しているメール便です。
送付できる内容物に制限があり、「冊子とした印刷物および電磁的記録媒体」と定められています。
とりわけおすすめなのは、試供品やサンプルを送付するケースです。
この場合、パッケージの目立つ部分に、「見本」「試供品」または「サンプル」と記載することを忘れないでください。
送付の際には、以下のいずれかの方法で、内容物を確認できるようにしておきましょう。
- パッケージの一部分を透明にし、中身が見えるようにする
- パッケージの一部分を開いておく
- パッケージの中身の見本を持参して、郵便局窓口で手続きする
その都度 見本を用意したり、パッケージを開いておくのは手間がかかります。
ネットショップがゆうメールを利用する場合、あらかじめゆうメール専用のパッケージを手配するのがおすすめです。
❷ ゆうパケット (日本郵便)
重量 | 1kg以内 |
サイズ | 縦 (34cm以内)+横+厚さ(3cm以内)=計60cm以内 |
料金 | ~1cm:250円 ~2cm:310円 ~3cm:360円 ※荷物の厚みによって料金が変動 ※全国一律料金 |
配達日数 | 1~2日程度 |
発送可能なもの | ・衣料品 ・サプリメント ・化粧品 ・CD、雑誌類 ・生活雑貨類 など |
発送不可能なもの | ・冷蔵品や冷凍品 ・割れ物や壊れ物 (損害賠償の対象外であるため、非推奨) ・現金や貴金属などの貴重品 ・爆発物や毒劇物 |
利用方法 | ・専用宛名シールを使い、該当する送料分の切手を貼る ・郵便局の窓口、または郵便ポストから発送 |
備考 | ・荷物の「引き受け時」と「投函完了時」に情報が登録され、追跡サービスで確認できる ・土曜、日曜でも配達される |
ゆうパケットも、ゆうメールと同様に日本郵便が提供しています。
ゆうメールと比較して、幅広い商品を扱うことができる点が魅力です。
ゆうパケットで発送した荷物は、土曜や日曜も配達されます。
1~2日程度で顧客の元に配達されるため、使い勝手の良いサービスです。
❸ ネコポス (ヤマト運輸)
重量 | 1kg以内 |
サイズ | 縦23cm以上~31.2cm以内・横11.5cm以上~22.8cm以内・厚さ2.5cm以内 ※上限だけではなく、下限にも制限がある点に注意 |
料金 | 上限385円 ※全国一律料金 |
配達日数 | 一部地域を除き、翌日配送 |
発送不可能なもの | ・冷蔵品や冷凍品 ・現金やクレジットカード類 ・犬や猫などのペット類 ・再生不可能な美術品や作品類 ・毒物や劇薬 ・花火などの火薬類 |
利用方法 | ・専用の送り状を用意 ・ヤマト運輸営業所への直接持ち込み、または担当ドライバーによる集荷にて発送 |
備考 | ・1個あたりの商品価格が税込3,000円を超える荷物は不可 (ネコポスの補償上限が3,000円に設定されているため) ・荷物お問い合わせシステムに専用の番号を入力することで、配送状況を確認できる |
ネコポスは、ヤマト運輸が提供しているメール便です。
小さな荷物を低コストで運べるだけではなく、宅配便と同じスピード感で配送できるのが魅力です。
一部地域を除き、翌日配送が基本なので、スピード重視の顧客におすすめの配送手段です。
事前にヤマト運輸との契約が必要で、料金は、契約内容に基づいて個別案件ごとに設定されます。
(ただし料金の上限は税込385円)
宅配便サービス 各社比較
メール便での配送が難しい商品については、宅配便での配送を検討してみてください。
メール便よりも制限が少なく、サービスも充実しているのが宅配便の魅力です。
主要3社の宅配便サービスを下記にまとめました。
ゆうパック | 宅急便 | 飛脚宅配便 | |
---|---|---|---|
重量 | 25kg以内 (オプションで30kg) | 2~30kg以内 | 30kg以内 (ラージサイズは50kg) |
縦 | 計60~170cm以内 | 計60~200cm以内 | 計160cm以内 (ラージサイズは260cm) |
横 | 計60~170cm以内 | 計60~200cm以内 | 計160cm以内 (ラージサイズは260cm) |
厚さ | 計60~170cm以内 | 計60~200cm以内 | 計160cm以内 (ラージサイズは260cm) |
料金 (東京から東京に送る場合) | 810円~ | 930円~ | 770円~ |
配達日数 | 最短翌日発送 | 最短翌日発送 | 最短翌日発送 |
追跡サービス | 有 | 有 | 有 |
日付指定 | 可 | 可 | 可 |
時間指定 | 可 (オプション) | 可 | 可 |
着払い | 可 (オプション) | 可 | 可 |
代引き | 可 (手数料有) | 可 (手数料有) | 可 (手数料有) |
補償 (責任限度額) | 上限30万円 (オプションで50万円) | 上限30万円 | 上限30万円 (保険加入で100万円) |
❶ ゆうパック (日本郵便)
重量 | 25kg以内 |
サイズ | 60サイズ (縦横厚さの合計が60cm以内) 80サイズ (縦横厚さの合計が80cm以内) 110サイズ (縦横厚さの合計が110cm以内) 120サイズ (縦横厚さの合計が120cm以内) 140サイズ (縦横厚さの合計が140cm以内) 160サイズ (縦横厚さの合計が160cm以内) 170サイズ (縦横厚さの合計が170cm以内) |
料金 | 810円~ (東京から東京に送る場合) ※荷物の大きさ・送り先エリアによって料金が変動 ※詳細は料金計算シミュレーションを参照 ※様々な割引制度有 |
配達日数 | 最短翌日発送 |
発送不可能なもの | ・信書 ・現金 ・爆発物や危険物 |
利用方法 | ・専用の送り状を用意 ・ゆうパック取扱所への直接持ち込み、または担当ドライバーによる集荷にて発送 |
備考 | ・セキュリティーサービス、本人限定受取 (別途オプション費用) |
ゆうパックは、日本郵便が提供している宅配便サービスです。
さらに、配送する商品の特性やシチュエーションに合わせて、下記のようなサービスがあります。
荷物の紛失・破損に対する補償が充実しているため、高額商品の配送にも安心して利用することができます。
(別途オプション費用)
- セキュリティサービス:損害補償の上限が50万円に増額 (デフォルトの補償上限は30万円)
- 本人限定受取:配送時に本人確認書類の確認が必須となり、第三者の手に荷物が渡ることはありません
❷ 宅急便 (ヤマト運輸)
重量 | 2~30kg以内 |
サイズ | 60サイズ (縦横厚さの合計が60cm以内・2kgまで) 80サイズ (縦横厚さの合計が80cm以内・5kgまで) 100サイズ (縦横厚さの合計が100cm以内・10kgまで) 120サイズ (縦横厚さの合計が120cm以内・15kgまで) 140サイズ (縦横厚さの合計が140cm以内・20kgまで) 160サイズ (縦横厚さの合計が160cm以内・25kgまで) 180サイズ (縦横厚さの合計が180cm以内・30kgまで) 200サイズ (縦横厚さの合計が200cm以内・30kgまで) |
料金 | 930円~ (東京から東京に送る場合) ※荷物の大きさ・ 重量・送り先エリアによって料金が変動 ※詳細は宅急便運賃一覧表 全国一覧・料金計算シミュレーションを参照 ※様々な割引制度有 |
配達日数 | 最短翌日発送 |
発送不可能なもの | ・現金やクレジットカード類 ・犬や猫などのペット類 ・再生不可能な美術品や作品類 ・毒物や劇薬 ・花火などの火薬類 |
利用方法 | ・専用の送り状を用意 ・ヤマト運輸直営店への直接持ち込み、または担当ドライバーによる集荷にて発送 |
備考 | ・一梱包の価格が税込30万円を超える荷物は不可 (宅配便の補償上限が30万円に設定されているため) |
宅急便は、ヤマト運輸が提供している宅配便サービスです。
さらに、配送する商品の特性やシチュエーションに合わせて、下記のようなサービスがあります。
❸ 飛脚宅配便 (佐川急便)
重量 | 飛脚宅配便:30kg以内 飛脚ラージサイズ宅配便:50kg以内 |
サイズ | 飛脚宅配便:縦+横+厚さ=計160cm以内 飛脚ラージサイズ宅配便:縦+横+厚さ=計260cm以内 |
料金 | 770円~ (東京から東京に送る場合) ※荷物の大きさ・ 重量・送り先エリアによって料金が変動 ※詳細は飛脚宅配便料金表・料金計算シミュレーションを参照 ※荷物持ち込みで1個につき100円割引 |
配達日数 | 最短翌日発送 |
発送不可能なもの | ・危険品、信書、貨幣および有価証券 |
利用方法 | ・専用の送り状を用意 ・佐川急便営業所・取次店への直接持ち込み、または担当ドライバーによる集荷にて発送 |
飛脚宅配便は、 佐川急便が提供している宅配便サービスです。
さらに、配送する商品の特性やシチュエーションに合わせて、下記のようなサービスがあります。
- 飛脚ラージサイズ宅配便:大型の荷物に対応
- 飛脚クール便:保冷が必要な生鮮食品等
- 飛脚即日配達便:都市部を中心とした特定エリアへ当日中にお届け
- 飛脚ジャストタイム便:指定時間にお届けできなかった場合は全額返金
飛脚ラージサイズ宅配便は、他社と比べて大型の荷物に対応しており、家電や家具など 大型商品を扱うショップにおすすめの配送業者です。
ゆうパックと同様、荷物の紛失・破損に対する補償が充実しているため、高額商品の配送にも安心して利用することができます。
(別途オプション費用)
その他の配送方法
最後に、その他の配送手段として、
- レターパック (プラス・ライト)
- スマートレター
- 普通郵便 (定形郵便・定形外郵便)
について解説します。
「かゆいところに手が届かない…」と悩んでいる場合は、ぜひその他の配送手段についても検討してみてください。
❶ レターパック・スマートレター (日本郵便)
レターパックプラス | レターパックライト | スマートレター | |
---|---|---|---|
重量 | 4kg以内 | 4kg以内 | 1kg以内 |
サイズ | A4ファイルサイズ | A4ファイルサイズ | A5ファイルサイズ |
厚さ | 3cm超え可 | 3cm以内 | 2cm以内 |
料金 | 520円 (全国一律料金) | 370円 (全国一律料金) | 180円 (全国一律料金) |
配達日数 | 最短翌日 | 最短翌日 | 最短翌々日 |
土日祝配達 | 有 | 有 | 無 |
追跡サービス | 有 | 有 | 無 |
お届け方法 | 対面+サイン | ポストに投函 | ポストに投函 |
補償 | 無 | 無 | 無 |
- A4サイズ封筒:34.0cm×24.8cm
- A5サイズ封筒:25cm×17cm
- レターパックライトの送達日数は、おおむねレターパックプラスと同様ですが、配達の状況によりさらに1日ほど日数がかかる場合があります
発送可能なもの | ・信書 (手紙・請求書など) ・書類・CD・DVD ・プレゼント ・カタログ・業務用サンプル ・衣類 ・オークション商品 など |
発送不可能なもの | ・現金 など |
利用方法 | ① 郵便局やコンビニで封筒 (レターパックまたはスマートレター) を購入 ② 送りたいものを入れる ③ 郵便局への直接持ち込み、または郵便ポストから送る ④ お届け先にお届け |
備考 | ・改めて送料や切手代を支払う必要は無い |
日本郵便が提供しているレターパック、スマートレターは、料金は全国一律、専用の封筒 (パッケージ) を使用するため、仕組みがシンプルで分かりやすい配送方法です。
補償 (損害賠償) はついていませんが、レターパックプラスに関しては、受領印やサインを持って配達完了となるので、確実に相手方に届けることができます。
スマートレターは、土曜・日曜・休日の配達を休止しており、週末を挟む場合はお届けまでに時間を要するため、注意が必要です。
実際にスマートレターのパッケージを手に取ってみると、その小ささに驚く方も多いのではないでしょうか。
とはいえ配送コストが安いため、専用の封筒に入る形状の商品を扱う場合は、検討してみてはいかがでしょうか。
❷ 普通郵便 (日本郵便)
定形郵便 | 定形外郵便 (規格内) | 定形外郵便 (規格外) | |
---|---|---|---|
重量 | ~50g以内 | ~1kg以内 | ~4kg以内 |
長辺 | 14cm以上~ ~23.5cm以内 | 14cm以上~ ~34cm以内 | 計90cm以内 (60cm以内) |
短辺 | 9cm以上~ ~12cm以内 | 9cm以上~ ~25cm以内 | 計90cm以内 |
厚さ | 1cm以内 | 3cm以内 | 計90cm以内 |
料金 | 84円~94円 (全国一律料金) | 120円~580円 (全国一律料金) | 200円~1,350円 (全国一律料金) |
普通郵便といえば、手紙やはがきを思い浮かべるかと思いますが、商品を配送することも可能です。
定形郵便と定形外郵便 (規格内・規格外) の2種類があり、
料金分の切手を貼りポストに投函するだけで、配送手配を完了できるというメリットがあります。
- 定形郵便・定形外郵便のサイズ:上限だけではなく、下限にも制限がある点に注意。
- 定形郵便・定形外郵便の料金:重量制
定形外郵便を上手く活用すれば、小物類や雑貨類、サンプル品等も配送できますが、
商品の重さやサイズによっては、レターパックやスマートレターを使った方が安いケースもあります。
自社商品の条件に合致するか、ぜひ検討してみてください。
まとめ
この記事では、メール便と宅配便の特徴、各社サービス内容とその比較について、詳しく解説しました。
どの配送方法を選択するかによって、配送コスト・顧客満足度に大きな影響を及ぼしますので、慎重に検討してみてください。
それぞれの特徴・メリット・デメリットを踏まえた上で、自社商品に合った配送方法を選択しましょう。