近年『クラウドファンディング』という言葉を耳にする機会が増えてきました。
クラウドファンディングは、多くの人から小口の資金を集めるのが特徴で、とりわけ「資金が無くD2Cブランドを始めることができない…」という方におすすめです!
この仕組みを活用することで、D2Cブランドの立ち上げのハードルが下がっています。
そんなクラウドファンディングですが、『資金集めのための手段』と認識している方が多いですが、D2Cブランドを立ち上げる上で、他にも様々なメリットがあります。
この記事では、D2Cブランドを立ち上げる際に、
- クラウドファンディングを活用することでどのようなメリットがあるのか?
- 具体的にどのような手順で進めるのか?
について解説します。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、「群衆 (Crowd)」と「資金調達 (Funding)」の2つの言葉を掛け合わせた用語です。
Web上のプラットフォームを通して、不特定多数のユーザーに資金提供を呼びかけ、資金を集める手段のことを指します。
クラウドファンディングと出資の違い
よく『クラウドファンディング』と『出資』は比較されますが、
出資:大口の法人, 投資家から集める
クラウドファンディング:小口で個人から集める
という違いがあります。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングは、大きく分けて下記の3種類です。
- 金融型:先行投資をして、後日お金が返ってくるクラウドファンディング
- 寄付型:見返りがほぼゼロの、善意によるクラウドファンディング
- 購入型:参加することで、何かしらの返礼品がもらえるクラウドファンディング
この記事はD2Cブランドを立ち上げる方向けの内容なので、『購入型』のクラウドファンディングで行うことを前提として進めていきます。
次に、クラウドファンディングの決済方法については2種類に分かれます。
- All or Nothing方式:自身で設定した目標金額を達成した場合のみ、支援金を受け取れる (決済される) 方式
- All in方式:自身で設定した目標金額に到達したかに関わらず、必ず支援金を受け取れる (決済される) 方式
どちらも一長一短はありますが、D2Cブランド立ち上げ時には『All or Nothing方式』がおすすめです。
その理由として、成功しているクラウドファンディングの多くが、All or Nothing方式を採用しているからです。
そして、All or Nothing方式は、終盤に「達成か!?」「未達成か!?」という状況になりやすく、熱狂が起こりやすいことが挙げられます。
D2Cブランドがクラウドファンディングに挑戦すべき目的・メリット
D2Cブランドがクラファンに挑戦するメリットは、以下のようなものです。
- 資金がなくても商品開発をすることができる
- テストマーケティングができる
- 事前に顧客獲得ができる
- 広告費をかけずに認知をしてもらえる
- 濃いファンを作ることができる
メリット①:資金がなくても商品開発をすることができる
まず1点目は、資金力が無くても商品開発をしてD2Cブランドを始められるという点です。
D2Cブランドを立ち上げて起業する場合、
- 資金を用意
- 商品を製造
- 商品を販売
- 売上が発生
…という流れになるので、売上が発生する前に想像以上の費用が必要となります。
起業時に「資金が無くD2Cブランドを始めることができない…」という方にとっては、クラウドファンディングによって資金が集まることは値千金です。
商品開発前に資金を調達できることが可能なのは、大きなメリットです。
メリット②:テストマーケティングができる
D2Cブランドを開発する上で、
- 本当にその商品はユーザーが求めているものなのか?
- ユーザーの「不」を解決できる商品なのか?
…というのは重要な要素です。
大量に商品を製造した後に、「市場に出してみたら全く需要がなく売れなかった…」という状況になってしまえば、在庫と多額の負債が残ることでしょう。
そんな悲劇を回避するためにも、クラウドファンディングは役に立ちます。
実際に、クラウドファンディングのプラットフォーム上で、商品を出してみて需要がなければ、商品製造の中止という判断もできます。(※All or Nothing方式の場合)
そして、再度ユーザーニーズを満たすような商品アイデアを練り直すことが可能です。
基本的にテストマーケティングには費用がかかりますが、クラウドファンディングは無料で実施が可能なことも魅力的です。
メリット③:事前に顧客獲得ができる
Amazon、楽天、Yahooショッピング経由のEC販売では、プラットフォームからの集客が期待できますが、
対して、D2Cブランドを作り自社ECサイトで販売する場合は、集客チャネルを自社サイト上で構築していかなければなりません。
いくら素晴らしい商品でも、集客が上手くできず、撤退を余儀なくされたD2Cブランドは星の数ほどあります。
そんな難しい集客のファーストステップを担うことができるのが、クラウドファンディングです。
クラウドファンディングによって、商品販売前から顧客とご縁が生まれるため、初期フェーズの大事な売上に貢献してくれます。
メリット④:広告費をかけずに認知をしてもらえる
当たり前ですが、自社サイトや自社SNSアカウントを立ち上げても、世の中の大半の人はその存在に気づかないですし、見向きもしてくれません。
つまり、自社D2Cブランドを認知・購買してもらうためには、基本的には広告を出稿する必要があります。
しかし、資金調達をせず自己資金のみでD2Cブランドを立ち上げた場合、認知のために初期段階で大きく資金を投入することは難しいです。
クラウドファンディングを行うことで、プラットフォームの力を使い、多くのユーザーに認知をしてもらうことができるのは非常に大きなメリットです。
メリット⑤:濃いファンを作ることができる
貴社のD2Cブランドを愛し、継続して購買する濃いファンの獲得は、事業継続のために必要不可欠です。
クラウドファンディングでは、概要説明を丁寧に記載することで、プロジェクトオーナーの想いや、商品の魅力や特徴を存分に伝えることができます。
その想いに強く共感してくれたユーザーは、濃いファンになってくれる可能性があるため、今後ブランドを継続していく上で大切な存在となります。
クラウドファンディング実施までの流れ
この章では、D2Cブランドのクラウドファンディングを実施する際の流れを、時系列に記載しました。
- 意義・本気度を事細かに洗い出す
- 目標金額を設定する
- タイトルを考える
- リターンを設定する
- 概要説明を記入する
- SNSを中心としたPR活動
- メディアリスト・インフルエンサーリストの作成
- 事前告知LP・ティザー広告の作成
- プラットフォームのメルマガ予約
- プレスリリースの実施
上記の通りにクラウドファンディングを進めていくことで、プロジェクトの達成率が大きく向上しますので、ぜひ最後までご閲読ください。
まず最初のステップでは、『何故このD2Cブランドを立ち上げるのか?』について徹底的に掘り下げていきましょう。
クラウドファンディングでは、如何に造り手の想い共感してもらえるかが、プロジェクト達成のための重要な要素となります。
人は ”Before” を知らなければ強く共感できません。
例えば、海外の新興国で多くの人が戦争で亡くなっているというニュースを見ても「可哀想に…」とは感じても、涙を流す人は少ないでしょう。
しかし、スポーツ選手が金メダルを取るまでのドキュメンタリー番組でしたらどうでしょうか?
優勝するまでの苦労や努力を知った上での金メダル!
Beforeがあるからこそ、感動が生まれるのです。
ですので、D2C立ち上げの意義や本気度をまとめることは、非常に大切なステップです。
しっかりと想いを言語化してください。
- なぜこの商品を開発したいのか?
- どんな想いがあってブランド立ち上げに至ったのか?
…などを、一連のストーリーにまとめましょう。
次に、目標金額を設定しましょう。
クラウドファンディングを初めて実施する場合は、ミニマムな目標金額を設定してください。
プレテストとして、数十万円~数百万円程度の目標金額を設定するのが無難です。
その後の運転資金を多めに集めたいという気持ちは分かりますが、達成が見込めるであろう、現実的な金額感にしておいたほうがよいでしょう。
クラウドファンディングに慣れてきたら、どれくらいの金額が集まるかがイメージできるようになってくると思います。
最初の実施では、目標金額は控えめな金額に設定して、次回実施から徐々に金額を上げていきましょう。
また、クラウドファンディングを実施する際に覚えておいてほしいのは、実施するプラットフォームの手数料が発生するということです。
各プラットフォームによって手数料は違いますので、実施するプラットフォームの手数料分も加味して、金額を設定しましょう。
- 例えば、200万円の費用が必要で手数料が10%のプラットフォームを利用した場合、少し多めに230万円で目標金額を設定します。
クラウドファンディングを実施する際のタイトルを考えましょう。
タイトルは非常に重要です。
あなたのD2Cブランドにどれだけ強い想いがあっても、ファーストビューで関心を引き、興味を持ってもらえなければ、詳細をクリックして見てもらえません。
長すぎない文言で、一文で『商品を購入することで得られるベネフィット』を記載してください。
様々なパターンのタイトルを用意してみて、一番惹かれるタイトルはどれか、友人に質問してみるのもよいでしょう。
リターンを設定する上で重要なポイントは、支援の価格帯を幅広く設定するということです。
様々な支援者のパターンに対応できるよう、
リターン:8~10種類
支援額:少額 (500円程度) ~ 高額 (10万円程度)
と設定しましょう。
また、高額なリターンは限定数を設定することを忘れてはいけません。
『希少価値の高い商品』であることをアピールするのと同時に、リターンに応募していただいた方の自尊心を満たすためです。
クラウドファンディングの平均支援金額は約1万円と言われています。
この価格帯に魅力的なリターンを設定することで、クラウドファンディングの成功率は高まります。
また、リターンを設定する際には、配送料を頭の片隅に置いておきましょう。
少額のリターンに高額な配送料がかかると、結果的に赤字になってしまうというケースが見受けられます。
(例):少額のリターンをマグカップに設定し、配送料の方が高くなってしまう
少額のリターンには、配送料が抑えられる or 配送料がかからないものを設定するのがおすすめです!
リターンにどのようなものを用意するかは、必ずユーザー目線に立って『本当に欲しいものか?』を何度も自問してみましょう。
概要説明には、文字だけを羅列していくのではなく、必ず画像や動画を入れて説明するようにしてください。
文字を読むのが嫌になって離脱をしてしまうユーザーが増えないよう、読みやすい構成を心がけて作成していきます。
STEP❶で考えたD2Cブランドへの想い、ストーリーを順番に記載していきましょう。
また、募集期間についても明記しますが、おすすめの期間は『1ヶ月』です。
例えば、アパレルショップなどで常時セールを行っていると、「いつでも買えるからいいや。また今度にしよう。」と先延ばしにされてしまうのと同じ理由です。
期間限定の短期勝負である方が成功しやすいため、1ヶ月程度で設定しておきましょう。
クラウドファンディングを実施して、最初のうちは閲覧数が多くても、数日経てば激減します。
そんなときに重要なのは、SNSを中心としたPR活動です。
普段関わりのあるフォロワーの方や、リアルで付き合いのある知人などに声をかけましょう!
「失敗したら恥ずかしいから、知人にクラウドファンディングをやっていることを知られたくないな…」というのは甘いです。
是が非でも目標達成するんだ!!!という気概で挑みましょう。
SNSでは、
- クラウドファンディングの実施の報告
- クラウドファンディングの進捗
- クラウドファンディングに関する質問への回答
…などを行います。
同時に、LINEアカウントやメールでの声掛けや、投稿なども合わせて行うとなお良いです。
D2Cブランドを立ち上げた後に、さらなるブーストをかけたい場合に取り組んだ方がよい施策です。
あらかじめ相性が良さそうなメディアやインフルエンサーをリストアップしておきましょう。
リストアップしておくことで、後々サンプルを渡して記事を書いてもらえないか交渉したり、認知を広げることが可能です。
快く無償で紹介をしてもらえるケースもありますし、アフィリエイトという仕組みを使って成果報酬型で実施をするケースもあります。
さらに成功率を上げたいという方は、事前告知LPの制作や、ティザー広告を作成しましょう。
まずクラウドファンディングを行う前に、商品の概要を簡潔にまとめたペライチのページを作成します。
この事前告知LPを見て興味を持ってくれたユーザーに、LINEアカウントへの登録を促しましょう。
通常のユーザーよりもクラウドファンディングを応援してくれやすい方を、事前に囲うことができます。
また、ティザー広告とは、商品の概要を一気に紹介するのではなく、断片的に小出しにする手法の広告です。
ユーザーの興味を引くことを意識した広告で、初見で実施するのは難しいため、そんな広告があるのか…程度に頭の片隅に置いてもらえればと思います。
各プラットフォームにはメルマガのオプションが用意されてますので、さらにブーストをかけたい場合はメルマガ予約も1つの選択肢となります。
SNSのフォロワーが少なめの方や、どうしても知人には周知したくないという方は、メルマガでのブーストを検討してもよいでしょう。
もちろん有料のオプション施策になりますので、最終的に手元に残る金額が減ってしまうということをお忘れなく。
最後に、クラウドファンディングでD2Cブランドを立ち上げる旨を、PR TIMESなどでプレスリリースしていきましょう。
プレスリリースを行うと、連動して二次拡散してくれるメディアもいくつかあるため、インプレッションを大きく伸ばすことが可能です。
ここまでのステップを行えば、準備万端ですので、後は全力でクラウドファンディングに臨みましょう。
かなり長い道のりとなりますが、ノリで適当に始めると大抵失敗してしまいますので、丁寧にロジックを組み立てていきましょう。
クラウドファンディング成功のコツ
①盛り上がってる感を醸し出す
まず第一に挙げられるのは、『クラウドファンディングが盛り上がっている感』をいかに醸し出すか、という点です。
様々なリターンを設定することで多くの人が参加でき、クラウドファンディングが盛り上がっていけば、成功に大きく近づきます。
成功までの道のりには、必ず ”熱狂” が存在するということを覚えておきましょう。
②同業他社のクラウドファンディングを研究する
次に、自身のD2Cブランドに近い商品で、クラウドファンディングに成功している事例と失敗している事例を、最低でも10案件探してください。
- 「なぜ成功したのか?」
- 「なぜ失敗したのか?」
を分析して、概要説明やストーリー設計に役立てましょう。
そして、『クラウドファンディング実施の流れ』のSTEP❹にて解説しましたが、幅広い魅力的なリターンを用意することは、成功するかどうかの重要な要素の1つになります。
他社のD2Cブランドのクラウドファンディングを分析し、適切なリターン設定をすることが重要です。
初速 (初日) で目標金額の20%を超えれば、83%が成功 (目標達成) すると言われています。
さらに、終了日の10日前まで目標金額の60%を超えることができれば、94%が成功すると言われています。
上記の数値を目標に、自身のクラウドファンディングが順調に推移しているか確認しましょう。
クラウドファンディングで失敗しなための注意点 (失敗事例)
①プロジェクトが不明瞭
共感ができず、なぜD2Cブランドを立ち上げたのかが不明瞭な場合は、クラウドファンディングに失敗する可能性が高いです。
ユーザーに「応援したい!」と思ってもらえるかが重要な要素となりますので、ストーリー設計は最も力を入れて作成しましょう。
②リターンの金額と得られる特典が釣り合っていない
この記事で解説している『購入型』のクラウドファンディングは、
- ユーザーが応援したい!と思って支援する
- 商品が欲しいので支援する
という2つの性質があります。
「応援したいけど、リターンが微妙だな…」と思われてしまうと、支援してくれるユーザーは少ないでしょう。
③プロジェクトに関しての目標金額に根拠がない
クラウドファンディングを行う上で、「なぜこの金額が必要なのか?」という根拠を、概要欄で丁寧に説明する必要があります。
納得度があればあるほど、参加する意義があると思ってもらえるため、支援者も増えるでしょう。
以上が、成功するためのコツと失敗しないための注意点です。
クラウドファンディングを実施する前に、上記の項目をしっかりチェックしてくださいね!
クラウドファンディングにおすすめのプラットフォーム一覧
クラウドファンディングを行うことができるおすすめのプラットフォームを、下記にピックアップしました。
自社で立ち上げるD2Cブランドのユーザーの属性に近いプラットフォームで実施するのが良いでしょう。
実際に、そのプラットフォーム上でどのような商品が多く掲載されているかをチェックして、実施するかを判断しましょう。
- ・CAMPRIRE (キャンプファイヤー)
-
購入型国内クラウドファンディング年間支援プロジェクト成立件数No.1!
日本最大級のプラットフォームです。 - ・Makuake (マクアケ)
-
独自の市場分析ツールや、メディア掲載数5,000件以上の実績が強み。
- ・FANY Crowdfunding (ファニークラウドファンディング / 旧 SILKHAT)
-
「クリエイティブな夢を叶える」をテーマとした、吉本興業がプロデュースするプラットフォーム。
- ・Green Funding (グリーンファンディング)
-
出版・CD・DVD・ガジェット等の商品が多数掲載されているプラットフォーム。
プラットフォーム選定の際は、
- プロジェクト実施中のサポートは手厚いか?
- 手数料は高すぎないか?
- プロジェクト完了後の入金までのスピードは早いか?
等もあわせて確認しましょう。
まとめ
D2Cブランドの立ち上げ時は、「初期ユーザーの獲得」や「集客チャネル」について悩まれる方が多いのですが、クラウドファンディングを選択肢の1つとして検討いただければと思います。
クラウドファンディングは、素晴らしい商品や、商品に対する理念を、多くのユーザーに知ってもらうために欠かせない手段です。
ぜひ一度、クラウドファンディングの実施をご検討ください!