D2C事業を行う上で重要になってくるのが『ブランドブック』です。
この記事では、ブランドブックの役割や目的、構成内容について解説します。
「ブランドブックを作り、自社D2Cブランドに役立てたい!」と考える方は、ぜひご一読ください。
ブランドブックとは
ブランドブックとは、D2Cブランドが持っている方向性や、目指すべき理想の姿を共有するためのアイテムを指します。
ブランドブックは、基本的に『小冊子』で作られます。
冊子の内部には、ブランドに関する世界観や大切にしたいこと、顧客が得られるベネフィットなどが記載されていて、コンセプトブックという名称でも親しまれています。
ブランドブックの役割・必要性
ブランドには、それぞれ異なる価値観や方向性、理想とする姿がありますが、商品を購買しただけで顧客が理解することは難しいです。
- ブランドが持つ世界観や大切にしたいことを、より広く共有する
- ブランドコンセプトに共感してもらう
- ブランド立ち上げの経緯から、ブランドが目指す方向性を伝える
- D2Cブランドの購買や認知拡大に繋がるため
- ブランド価値の向上、熱烈なファンの増加に繋がるため
また、「ブランドを紹介するための文書なら、パンフレットで十分!」と考える方もいるかもしれませんが、全く別の役割を担っていると言えるでしょう。
パンフレットは「ブランド内の特定の商品をアピールするもの」ですが、ブランドブックは「ブランド全体の価値向上を目指して作られるもの」であると言えます。
ブランドブックを制作する目的
ブランドブックを制作する目的は、企業によってさまざまです。
一般的なケースは、「インナーブランディング活動」です。
ブランドを扱う企業内で働くスタッフに向けた、ブランディング活動のこと
ブランドの商品をより魅力的にアピールするためには、商品を扱うスタッフに十分な知識が必要とされます。
※特にカスタマーサポートチームは、他の誰よりもブランドの魅力を理解している必要がある。
品質が高く安い商品が市場に多く存在する現代では、商品そのものの価値に差が付けにくくなっています。
そのため、商品の裏にある世界観・ストーリー、ブランドを通して得られる顧客体験が購買する理由になってきているのです。
上記のような『付加価値』を提供するためにも、ブランドにまつわる深い知識・理解は必須です。
ブランドブックの構成・作り方
ブランドブックに掲載すべき内容
ブランドブック制作の際には、ブランドの世界観やストーリーなどを詰め込む必要があります。
しかし一方で、情報量が多くなり過ぎると、読む人の興味が削がれてしまいます。
正しく情報を共有するための小冊子だからこそ、『必要な情報のみを魅力的な形で掲載する』という工夫が必要です。
ブランドブックに掲載すべき内容は、下記のとおりです。
- ブランドの目的や志、夢
- その目的を達成するため、ブランドがやるべきこと
- ブランドを通じて、顧客に与えられる価値
- ブランド全体のコンセプト
- ブランドが発するメッセージ
- ブランドロゴやシンボルに込められた意味
- ブランドのガイドライン
自社ブランドを思い浮かべながら、まずは上記の項目を埋めてみてください。
具体的なメッセージや、ロゴ・シンボルに込められた意味についても積極的に伝えることで、魅力的なブランドブックに仕上がります。
ブランドブック制作におけるポイント・注意点
ブランドブック制作におけるポイントは、大きく3つです。
- 簡潔にまとめる
- 顧客に寄り添ったワードを選定
- 対象のペルソナに確認してもらう
➊ 簡潔にまとめる
各項目について、簡潔にまとめましょう。
長々と想いを綴っても、読み手が理解しづらいため一文を短くするように心掛けてください。
自己満足にならないよう、全社員が深く理解し共感できるようなブランドブックを目指しましょう。
❷ 顧客に寄り添ったワードを選定
横文字(カタカナ)や、専門用語などをなるべく使用しないのがベストです。
ターゲットとなる顧客が使うシンプルな言葉を使って、理解しやすいブランドブック制作にしましょう。
普段顧客が使うワード選定をすることで、瞬時に理解してもらいやすくなる利点があります。
❸ 対象のペルソナに確認してもらう
実際に社内だけで議論し、ブランドブックを製作していると顧客目線になっておらず、企業目線のものが出来上がってしまうことがあります。
そのため、必ずブランドブックの素案が完成したら、ペルソナに確認してもらいましょう。
ブランドブックを見てもらい、どれくらい共感してもらえたかを数値化します。
多くの顧客から高い満足度をもらえればブランドブックの完成です。
ブランドブックの活用法
社内向け
せっかくブランドブックを作成しても、社内で浸透しなければ意味がありません。
ブランドブックを活用し、さらにビジネスの拡大へとつなげていくためには、社内でのセミナーや社員同士のワークショップと組み合わせて活用することで、より深い理解を促していくことができます。
上記の開催が難しい場合には、社内報や朝礼などの全体が集まる場での周知も検討しましょう。
社外向け
近年では、社内のインナーブランディング活動だけではなく、社外活動においても積極的に活用しようとする事例が増えてきています。
ブランドブックを活用すれば、ブランドに対して興味を持ってくれた顧客に対して、より正確なブランド情報を届けることができるでしょう。
- ブランド発表の場で、訪れた顧客に向けてブランドブックを配布する
- 自社商品を購入してくれた相手に、ブランドブックを同封する
ブランドブックの活用によって、ブランドへの理解を深めてもらい、濃いファンの獲得を目指します。
一言で『ブランド』と言っても、その質や規模、知名度はさまざまです。
世界的に活躍する一流ブランドであれば、「ブランドの名前を聞いただけで、コンセプトが思い浮かぶ」ということもあるでしょう。
しかし、売り出し始めたばかりのブランドやD2Cブランドに、ブランディング力は一切はありません。
「まずブランドについて知ってもらう」という点が、第一歩です。
まとめ
ブランドブックは、ブランド価値を向上させたい企業や、従業員からも熱烈なファンを増やしたいという企業にとって、非常に魅力的なアイテムです。
長く愛されるD2Cブランドを目指すのであれば、積極的に『作った方がいいアイテム』と言えます。
ブランド全体の価値向上に非常に効果的であるため、ぜひ制作を検討してみてください。