ECサイトにおいて、しばしば問題になるトラブルの1つが「カゴ落ち」です。
カゴ落ちすることで、購買してくれるユーザーの母数は減ってしまいますので事業に大打撃です。
この記事では、カゴ落ちとは何か、そしてカゴ落ちの起こる要因や対策方法について解説します。
カゴ落ちとは
そもそも「カゴ落ち」とは、どういった意味の言葉なのでしょうか。
ECサイトにおけるカゴ落ちとは、「カートに商品を入れたけれど実際に購入するには至らず、そのままサイトから離脱してしまうこと」を意味しています。
カゴ落ちが起こる頻度はかなり高く、2018年にアメリカの行われたBaymard Instituteの調査資料「41 Cart Abandonment Rate Statistics」によると、ECサイトにおけるカゴ落ち率は、平均で69.57%であったと発表されています。
つまり、ECサイトを利用して商品をカートに入れた後、実際には購入せずにサイトを離れてしまうユーザーは10人中7人ほどいると考えられるのです。
カゴ落ちによる機会損失額は売上の約2.5倍
株式会社イー・エージェンシーが、ECサイトのカゴ落ちによる機会損失状況を把握するため、2018年4月から2019年3月の間「カゴ落ちによる機会損失状況」を調査をしました。
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参照元:ECサイト、売上の約2.5倍がカゴ落ちによる機会損失 ~ イー・エージェンシー
<調査概要>
調査期間:2018年4月~2019年3月
調査対象:461サイト
調査方法:売上はカートリカバリー経由での売上額を引いて算出。(送料等は含まない。)
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カゴ落ちによる機会損失額は、結論として、売上の約2.5倍にものぼるそうです。
特に、2月・3月の機会損失状況は高く、最高3.1倍となっています。
約7割のユーザーがカゴ落ちし、2.5倍の機会損失になっているとすると、月間に訪れるユーザーが5,000人と過程した場合、2,000万円の機会損失になるということです。
【ECサイトの一例】
訪れたユーザー:5,000人(※カートへ到達した人数)
売上:800万円
カゴ落ちしたユーザー:3,500人
機会損失額:2,000万円
※条件 カート離脱:70%、機会損失:2.5倍
カゴ落ちしたユーザーは、購買まで一番近い顕在層といってもいいので、改善することで大きな売上アップに貢献します。
次章では、カゴ落ちが起こる要因を挙げておりますので、自社ECサイトのカゴ落ちしている要因を確認してみてください。
カゴ落ちが起こる要因とは
商品を購入するという目的があってECサイトを利用しているはずのユーザーが、なぜ商品を購入せずにページを離れてしまう要因は下記の4つが挙げられます。
- 送料や手数料が高い
- マイページへの登録が必要
- 選べる決済方法が少ない
- 商品に対して何らかの疑問がある
- 決済画面でのエラー
- 配送が遅い
1つずつ詳しく確認していきましょう。
➊ 送料や手数料が高い
商品をカートに入れて購入しようとすると、商品の値段の他に送料や手数料が加算されたトータルの金額が表示されます。
そこで初めて送料や手数料を正確に意識したユーザーが、思っていたよりも高くなることに気づき購入を取り止めるというカゴ落ちはとても多いです。
たとえ、商品ページに送料など記載していたとしても、大きく表示していなければ基本的には見逃していると思っていいでしょう。
送料や手数料が高いと、購入直前で思われないような仕掛けを作っておく必要があります。
❷ マイページへの登録が必要
多くのECサイトでは、商品を購入するためには自分のアカウントを作り、マイページに登録しなければいけません。
登録時に情報を入力する手間はかかってしまいますが、一度登録をすれば買い物をするたびにクレジットカードの情報や住所などを入力しなくて済むので、ユーザーにとってもメリットはあります。
しかし、いざ商品を購入しようとしたところでマイページへの登録を求められると購入意欲が削がれてしまいますし、面倒に感じる人も多いようです。
カートに遷移する前に、『会員ログイン』と『ゲスト購入』で選べるような導線を用意しましょう。
❸ 選べる決済方法が少ない
普段オンラインショッピングをする際によく利用する決済方法というのは、人によってさまざまです。
カートに商品を入れて購入ページに進んだ後に、使いたい決済手段が選べないことがわかり、商品を購入するのをやめるユーザーも多く存在します。
ECサイトユーザーを対象にしたアンケート調査では、よく利用している決済手段が使えないとわかった場合、そのまま別の決済手段を選んで同じECサイトで購入する人は、全体の40%に満たないということが分かっています。
購入を諦めた残りの60%ほどの人は、自分が使いたい決済手段に対応している他のECサイトを利用して同じ商品を購入するとのことです。
また、なかにはセキュリティ上の不安からクレジットカード情報を登録することに抵抗のあるユーザーもいるため、『後払い』や『代引き』といった決算手段も用意しておくことをおすすめします。
対応している決済手段が少ないと、それだけカゴ落ちが起こりやすくなりますので幅広く用意しておきましょう。
❹ 商品に対して何らかの疑問がある
商品を購買する際に、何らかの疑問がある場合は、カゴ落ちに繋がることがあります。
例えば、定期お届けの場合は、
- 定期縛りは本当にないのか?
- 解約やお届けの延期は本当にできるのか?
- いきなり2回目のお届けから高額の請求にならないか?
といった内容が、購買までの導線で把握できていない場合は離脱が起こりやすいです。
必ず商品ページやLPなどに、詳しいショッピングガイドラインやFAQを設置することで、ユーザーの不安を取り除きましょう。
❺ 決済画面でのエラー
その他には、決済の途中で画面がクラッシュしてしまったり、何らかのエラーが起きてしまったりといったトラブルが、カゴ落ちの理由となることもあります。
特に商品が他のECサイトでも購入できるものであった場合は、再度エラーが起きぬよう、カゴ落ちして他のECサイトで購入し直すことも考えられます。
決済画面でエラーが発生していないかテスト注文を行ったり、エンジニアに確認をしましょう。
❻ 配送が遅い
昨今、物流の仕組みが整い、即日配送が当たり前になっています。
特に、普段Amazonなどのネットショップを利用しているユーザーにとって、配送があまりにも遅い場合はカゴ落ち要因になり得ます。
2~3日ほどは許容範囲ですが、1週間を超える場合は、別サイトでの購入を検討するユーザーが出ることを覚えておいてほしいです。
物流機能を内製化してい遅い場合は、物流の仕組みが整った外注先に依頼することも検討してみてください。
カゴ落ちを防ぐ対策法
カゴ落ちをで防ぐための対策法は大きく5つに分かれます。
- 入力項目を必要最低限にする
- 送料を無料にする or 無料になる条件を提示
- ECサイトのサイト表示スピードを高める
- 個人情報の取り扱いやセキュリティの高さを伝える
- カゴ落ちメールを送る
- ショッピングガイド・FAQを明記する
カゴ落ちを防ぐ具体的な対策方法についてもみていきましょう。
➊ 入力項目を必要最低限にする
まず第一に改善できる方法として、必要項目を最低限にすることが挙げられます。
アカウント登録が面倒だとユーザーにいかに思わせないかが大切です。
入力項目を絞り、購入のハードルを少しでも下げることによって、離脱を極力減らすことができます。
また、アカウント登録をしない状態でも商品を購入できるような連携システムを導入するのもおすすめです。
最近流行りのAmazonPayなどは、わざわざアカウント登録をしなくても購買できるような仕組みになっています。
「手間がかかるのが嫌だ。面倒だ。」という理由で購買を中断する方もいますので、登録せずに商品を購入できるシステムの導入も1つの選択肢です。
❷ 送料を無料にする or 無料になる条件を提示
送料が原因でカゴ落ちが起きていると考えられる場合には、送料をなくす、もしくは送料が無料になる条件をしっかりと提示することがおすすめです。
Amazonなどの送料が無料なサービスの台頭によって、ユーザーは『送料無料は当たり前』という意識があります。
もちろん、送料を無料にすることは理想的ですが、安価な商品についても送料を自社で負担するのは、コスト的にも難しいでしょう。
全商品を送料無料にするのが難しい場合、例えば一部の商品だけ送料を無料にしたり、一定以上の金額分購入すれば送料が無料になるなど、条件をしっかり提示することが代替の対策方法となります。
❸ ECサイトのサイト表示スピードを高める
ページを推移するたびにサイト表示に時間がかかっていると、当然ユーザーには大きなストレスがかかります。
アメリカのWebアクセス解析ツール提供会社「Kissmetrics」の調査によると、サイト上で3秒以上ページの表示を待たされると、約40%のユーザーは離脱すると報告されています。
サイト表示スピードが遅いのは、大きな機会損失に繋がりますのでサイトをなるべく軽くして、サイト表示スピードをより速くできるよう各所を見直してみましょう。
具体的な方法としては、画像形式を『WebP』にして画素数を落としたり、無駄なCSS , Javascriptの削除、アニメーションオフ、Lazy Loadの実装などが挙げられます。
❹ 個人情報の取り扱いやセキュリティの高さを伝える
ECサイトで商品を購入する際には、クレジットカード情報や住所、名前など、様々な個人情報を入力してもらいます。
著名な大手ECサイトならともかく、自社で運営しているような小規模ECサイトはセキュリティ面で不安と感じる方もいます。
カートへ商品を入れてみたものの、結局個人情報の取り扱いやセキュリティ面への懸念から購入は取りやめた…という事態を避けるためにも、セキュリティ対策や個人情報の取り扱いについて、信頼してもらえるようきちんと説明しましょう。
具体的で納得できるような説明があれば、ユーザーとしても安心して自身の個人情報を任せられるはずです。
❺ カゴ落ちメールを送る
カートに商品が入ったままになっていることを、メールで知らせるという方法も有効です。
途中で購買意欲が無くなりカゴ落ちするケースもありますが、ときには購入手続きを失念してしまったことが原因でカゴ落ちしてしまうケースもあります。
そういったユーザーに向けて、メールで未購入になっているお知らせを送るのも1つの手です。
メールの他にも、カートに商品を残したままサイトを離れようとすると、ポップアップウインドウが出てリマインドするなどの方法もあるため検討してみてください。
❻ ショッピングガイド・FAQを明記する
配送の日時や方法、定期商品の場合、どういった頻度で送られてくるのかなどは、ユーザーの目にとまりやすいような箇所に詳しく明記しましょう。
先述しているように、商品購買時に何らかの疑問が残っている状態では購買完了まで至りません。
ショッピングガイドやFAQを明記することはカゴ落ちを防ぎ、CVR向上を目指せます。
他にも、『返品・返金』対応の有無や条件について記載したりすると、なお良いです。
おすすめのカゴ落ち対策のツール3選
カゴ落ちを本格的に対策していきたい場合は、ツール導入を検討しましょう。
- カートリカバリー(株式会社イー・エージェンシー)
- BOTCHAN Payment(株式会社wevnal)
- Cuenote FC(ユミルリンク株式会社)
代表的なツールを3つほどご紹介します。
✓カートリカバリー(株式会社イー・エージェンシー)
カゴ落ちによる機会損失を自動で解消することを売りにしている『カゴ落ち特化型MAツール』です。
Webサイトに計測タグを貼るだけで簡単に導入することができ、最短3日から始められます。
「カゴ落ちメール」と「カゴ落ちリマーケティング広告」によって、ユーザーのカゴ落ちを防ぎます。
- カゴ落ちメール
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リアルタイムでユーザーのメールアドレスを取得し、カゴ落ち後にリマインドメールを送信できる機能です。
2通目以降もユーザーフェーズによってステップメールを配信することができるのも強みです。 - カゴ落ちリマーケティング広告
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カゴ落ちしたユーザーに向けて、バナー広告を出稿できる機能です。
カゴ落ちメールと組み合わせることで、最終的なCVRを向上できるのが強みです。
『カートリカバリー』のサービス紹介動画は、1分30秒ほどで見られるので大枠の概要を把握していただければと思います。
✓BOTCHAN Payment(株式会社wevnal)
単品リピート通販向けのCVR・LTVを最大化する『決済チャットフォーム』です。
チャットボットと会話(LINEのようなチャット)するような形式で決済完了まで行えるため、フォーム入力時のストレスを軽減し、カート離脱を防ぐことができます。
『BOTCHAN Payment』は、カゴ落ち改善以外にも、新規獲得効率が下がってきたり、LTVが伸びないとお悩みの方にもぜひ導入を検討すべきツールです。
- アップセル・クロスセルが可能
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チャット内で、アップセル・クロスセルを行うことが可能なので、LTV最大化に貢献します。
- 項目ごとのレポートデータ
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項目ごとの回答率や回答内容を記録し、レポートにて確認することが可能です。
上記のデータを元に、500社以上のBOTCHAN導入実績を持つカスタマーサクセスチームが、カゴ落ち改善のサポートを行ってくれます。
✓Cuenote FC(ユミルリンク株式会社)
メール配信システムCuenote FC(キューノートエフシー)は、カゴ落ちしたユーザーに対して、自動的にリマインドメールを送ることができる配信ツールです。
- カゴ落ちの発生状況をグラフ化
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カゴ落ちの発生状況がグラフ形式で見ることができるため、包括的にカゴ落ち状況を把握することができます。
また、配信効果の確認や各商品ごとのリカバリー状況の分析も可能です。 - 高い到達率と高速なメール配信
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カゴ落ちメールを送る際に、メールの到達率というのは非常に重要です。
トップクラスの配信性能と、長年の実績で到達率の高いメール配信を実現しているのが強みです。
まとめ
今回はカゴ落ちとは何か、起こる要因やカゴ落ちを防ぐ対策法などについて解説しました。
カートに入れた商品をそのまま購入してもらい、カゴ落ちを防ぐためには、自社のECサイトではどういった理由でカゴ落ちが起きているのか、主な原因を見定めることが最も大切です。
現状の課題を把握・分析し、ユーザー視点から見て商品を購入しやすい環境や購入意欲が削がれない導線を意識していきましょう。