「EC/D2C事業を立ち上げたはいいけど、商品価格どうしよう…」
とお悩みの方は多いのではないでしょうか?
多くの場合、同ジャンルの競合の製品の金額を見て、同様の金額帯で決める企業様が多い印象があります。
しかし、EC/D2C事業において、上記のような商品価格の決め方はとても危険です。
そこで本記事では、商品価格の決め方について解説します。
商品価格の設定で絶対にやってはいけないこと
先述しているように、同ジャンルの競合製品の金額を見て、なんとなく設定するのはNGです。
ECモールをメインチャネルとして販売するのならそういった設定方法もありますが、特に自社サイトを構えブランドづくりをしていく場合、危険な考え方です。
- 競合の原価
- 商品購入後のLTV
- 商品販売の目的
…など各社によって異なるため、そのまま自社に置き換えると上手くいかないケースは多いです。
例えば、利益を出すのが目的ではなく、認知目的で売っている競合他社の価格をそのままトレースすると、「ほとんど利益が出ないじゃないか…。」となるケースが往々にしてあります。
商品価格決めの『6ステッププライシング』
商品価格を決める際には、様々な方法があります。
本記事では、マーケティングの神様と評されるフィリップ・コトラー氏が提唱している『6ステッププライシング』という価格決定プロセスに当てはめて解説します。
1.目的設定
まずは、自社の目的を定めます。
- 売上の最大化なのか?
- 利益の最大化なのか?
- 認知の最大化なのか?
- 別商品・サービスへの誘導商品なのか?
…など目標を明確に定めます。
新たに、D2Cブランド単体で利益を出したいという場合は、『売上 or 利益』の最大化を設定することが多いです。
売上の最大化を目的とする場合、利益を圧縮して販売金額を低く設定して多くの方の購入してもらえるように取り組むケースが考えられます。
逆に、利益の最大化を目的とする場合、販売個数は減ったとしても1個の商品を販売した際の利益を追求するようなケースが考えられます。
2.需要予測
自社が参入する商品カテゴリや市場の需要予測を行います。
どれくらいの需要があるかどうか?を無償の範囲内で調べる場合は、
- 上場企業のIR情報の確認
- 身近なユーザー数十名へのヒアリング
- LINEやTikTokなどの媒体社やASPなどへの確認
…などが挙げられます。
金額をかけても正しい情報を知りたいという場合は、
- 専門機関への需要予測調査
- 富士経済などの「業界の市場調査データ」閲覧
…などが挙げられます。
3.コスト評価
ここのフェーズでは、D2C事業全体でかかるコストを試算し、ビジネスモデルとして成り立つかを評価します。
各種の主要数値を仮決めし、年間シミュレーションを立てましょう。
サブスクリプションモデルの場合は、下記のような項目を仮決めして試算します。
- 初回トライアル価格
- 初回定期価格、2回目定期価格
- 各フェーズごとの転換率
- CPA(獲得コスト)
- 既存定期発送率
- 解約率
- 定期再開率
- 月間の獲得数
- 原価合計(商品原価、同梱物、梱包費、送料…など)
価格を細かくシミュレーションしながら、キャッシュフローの健全性やROASやROIなどを見極め『コスト評価』を行いましょう。
4.競合分析
ここで、ようやく『競合分析』を行います。
同じカテゴリーである競合他社の価格や、売り方、訴求内容などを見ていきます。
実際に競合他社のWebサイトやLPなど、価格だけではなく、どういった特徴があるかも合わせて見ておきましょう。
+αとして、対応可能なのであれば競合商品を買ってみて、
- 購入後どんなメールが届くか?
- 商品の梱包状況やパッケージ
- 同梱物やキャンペーンチラシ
…など見ておくのがおすすめです。
5.価格設定
次に、具体的な価格を設定していきます。
『コスト評価』と『競合分析』の結果を鑑みて、シミュレーションと照らし合わせつつ、値段を設定していくことになります。
この際に『原価志向・需要志向・競合志向』と、何を優先的に考えるかで価格を設定していきます。
昨今のデジタルD2Cでは、Web広告を中心に多くの新規顧客を獲得していくモデルが多いため、『コストプラス法』という一定の利益率または利益額を製品のコストに加えて価格を設定する価格決定方法を用いることが多いです。
『コストプラス法』については、下記ページでご説明いたします。
… Coming soon
6.価格決定
上記手順に従って、価格を決定してみましょう。
一度販売価格を決めたからといって、必ずその価格で売り続ければいけないわけではありません。
販売していくうちに、採算が合わないので価格を見直すこともあるでしょう。
しかし、一度値段を下げた状態で、多くのユーザーへお届けした後に値段を上げる場合は、一気に売れ行きが悪くなることがありますので十分にお気をつけください。
テストマーケティングフェーズで、価格がコロコロ変わるのはやむを得ないでしょう。
以上が商品価格の設定手順の一例になります。
まとめ
商品価格の設定をする際には、競合の値段を見てなんとなく付けてはいけません。
必ず『目的設定』から落とし込み、販売時のシミュレーションをしたうえで商品価格を決定しましょう。
「難しいので、価格を到底決められないな…。」という企業様は、ぜひ一度ジェネマーケにご相談ください。
きっと、商品価格の設計以外にもお役立ちできるかと思います。